ハンブルガーSVのトップチームで初のベンチ入りを果たした伊藤達哉【写真:Getty Images】

写真拡大

 現地時間20日にブンデスリーガ第5節が行われ、ハンブルガーSVはドルトムントに0-3で敗れた。

 この試合で、ハンブルガーSVの酒井高徳やドルトムントの香川真司と並んでピッチに立つ可能性があった“第3の日本人”がいた。20歳の伊藤達哉である。

 柏レイソルU-18時代に参加した国際大会での活躍がきっかけて2015年にハンブルガーSVのU-19チームへ移籍し、昨季からは4部リーグに所属するセカンドチームで活躍。今季も主戦場は昨季と変わらないが、2週間ほど前からトップチームの練習に参加していたという。

 現在ハンブルガーSVは負傷者が続出しており、セカンドチームで評価の高かった伊藤にベンチ入りのチャンスが与えられた。それが20日のドルトムント戦だった。しかし、0-3という厳しいスコアの中で途中出場でのブンデスリーガ1部デビューの機会は訪れなかった。

「1-0とかの試合だったらわからなかったですけど、0-2とか0-3の時点で最後にくるかなとは思っていて、それくらいの準備はできていました。残念な気持ちの方が強いですけど、まあ、そんなスムーズに全部上手くいくとも思っていないので。また次のチャンスに向けてって感じですね」

 ドイツに移籍して3年目、トップチーム初出場とはならず悔しさを隠さない伊藤。ここまで成長できたのは、同じくハンブルガーSVに所属し、昨季途中からトップチームのキャプテンを務める日本代表DF酒井高徳の存在が大きかったようだ。

「(酒井高は)U-21(セカンドチーム)の試合もわざわざ見に来てくれて、それで終わった後、どうだったとか、良かった悪かったとか、後は『ブンデスリーガでやるにはもっとこういうのが必要だ』とか、昨シーズンからずっと言ってくれていたので、昨シーズンの最初、スタメンじゃなかった時も、高徳くんから『お前はこういうポテンシャルがあるから、こういう風に続けていたら大丈夫だ』って、常に言ってもらっていた」

 トップチームは昨季、壮絶な残留争いに巻き込まれていた。その間、キャプテンという重責を背負いながらも酒井は後輩への助言を欠かさなかった。伊藤にとって「お兄さんみたい」な存在だという。

「普段セカンドチームにいる時はみんなも同世代みたいな感じで、日本の友達と同じくらいの感じで喋れるし、接しているんですけど、こっち(トップチーム)だと年上の選手が多いから、まだコミュニケーションはちょっと遠慮しちゃうところがある」

 20歳の伊藤にとってトップチームでの振る舞いに難しさはあるようだが、渡独3年目でドイツ語でのコミュニケーションに問題はない。「1年目に膝をけがしてしまって、8ヶ月くらいサッカーできなかったんですけど、その時に、何ができるかなって思った時にもう、語学習うしかなかった」と明かす。

 次なる目標はブンデスリーガ1部でのデビューになる。もはや言葉の壁はなく、それはトップチームで居場所を見つけるのに大きな武器になるかもしれない。20歳の若武者は先輩の的確な助言も糧にしながら、来るチャンスに向けて地道に努力を続けていく。

(取材:本田千尋、文・構成:編集部)

text by 編集部