石原さとみ主演ドラマ『地味にスゴイ!〜校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)が9月20日、SPドラマ『地味にスゴイ!DX 校閲ガール』として復活。石原演じる悦子の底抜けなポジティブさが、私たちに再びパワーを与えてくれた。

 憧れのファッション誌「Lassy」編集部への配属を目指して出版社に就職するも校閲部に配属されてしまった悦子。連ドラ最終回では「Lassy」編集長から企画を考えプレゼンするよう言われるも、思いを寄せる幸人(菅田将暉)の父・本郷(鹿賀丈史)の盗作問題を解決すべく奔走し、自分の企画を出すことができずに校閲部での勤務を続けるという結末を迎えた。SPドラマの舞台はそれから1年後。悦子は念願の「Lassy」編集部に異動となり、夢を叶えるまでお預けにしていた幸人との交際も順調。そんな時、発行部数が減少の一途をたどる「Lassy」に敏腕編集長・二階堂凛(木村佳乃)が着任。だが創刊から関わってきたベテランスタッフをクビにするといった傲慢なやり方に、悦子は猛反発する。

 二階堂に逆らわないほうがいいという森尾(本田翼)の忠告に反して、悦子は「奥多摩オトナ遠足」企画が時間的に1日で回ることは不可能だと指摘。「ファッション誌は事実と多少異なっていても問題ない」と一蹴されるも、悦子は事実確認をするべく米岡(和田正人)、藤岩(江口のり子)と共に奥多摩に足を運ぶ。そして2人との何気ない会話から、現地の気温差に目を付け「天気予報コーデ」企画を思い付く。企画は二階堂の意向に合致し高い評価を受けるが、悦子は嬉しい気持ちの反面、「Lassy」が「取っておきたい」と思える雑誌じゃなくなっていくことに違和感を抱いていた。

 一方幸人は、一時的に担当になった新人編集者・花恋(佐野ひなこ)がお手伝いさんのように振る舞うことに困惑していた。ある時、花恋が幸人に世話を焼く姿を目撃した悦子は、彼をサポートしてくれて「ありがとう」と嘘をつく。だが後日、自分の気持ちを我慢したくないと思い直し、悦子は花恋へのヤキモチを素直に打ち明ける。幸い、花恋は幸人に恋心は抱いていなかったが、幸人は「言葉にしないとわからない」ことを痛感。そして悦子に「好きだよ」と同棲を申し入れ、2人は幸せに満ちたキス&ハグをする。

 その後、茸原(岸谷五朗)の提案で暫定的に校閲部に戻った悦子は、作者の元妻の都合で行き詰まっていた景凡社創立50周年記念本に掲載予定の三枝貢の遺作(全四部作の第四部)の校正を任される。 “校閲ハイ”に突入した悦子は、原稿中の明らかな誤字を抜き出すと暗号が浮かび上がることに着目。もともと原稿の校正は三枝の元嫁が担当していたことから、この暗号が妻に向けたメッセージだと気付き、その元妻こそが現「Lassy」編集長・二階堂だったのだ。

 二階堂に話を聞くと、第三部までの原稿に隠された3つの暗号は、彼女が三枝を誘って訪れた“ハート型”にゆかりある場所だと判明。そして第4の暗号の地は唯一、三枝から誘いを受けた場所だったが、離婚したため訪れていないと言う。そんな彼女を連れて現地に向かうと、そこにあったのは木々の向こうに浮かび上がるハート型の空だった。「言ってくれたら、私、一緒に見に来たのに…」と笑う二階堂。言葉や表情には出さない三枝だったが、心の中では妻との旅に喜びを感じ、それを不器用にも暗号として原稿にしたためていたのだ。

 自分の気持ちを伝えることの大切さ、そして、校閲のおもしろさを再認識した悦子は、かねてより打診されていた副編集長就任を辞退。すると二階堂から、社内に雑誌の校閲係を設けることになったと告げられ、悦子は無事に雑誌校閲係として校閲部に復帰。私生活では幸人との同棲をスタートさせるという、なんともDXなハッピーエンドで終幕となった。

 全編を通し、石原の可愛らしさが引き立つコーディネートは圧巻の一言。場面が変わるたびに訪れる、ファッション誌をめくるようなワクワク感。そして、とびきりのオシャレをした悦子と幸人のラブラブぶりを見ていると、まるで憧れの洋服を手に取ったような高揚感が湧き出てくる。さらに、悦子が夢の中で答えていたクイズ問題には、石原出演の映画『忍びの国』を彷彿とさせるキーワードを散りばめる遊び心や、米岡と正宗(杉野遥亮)が同性愛を貫いていることをさらりと盛り込むテンポの良さも秀逸で、鑑賞後の爽快感は図抜けてスゴかった。

 そんな晴れやかなストーリーの中で描かれたのは“言葉にしないと伝わらない”というまっすぐなテーマ。そしてそこには、他人に対してのみならず、自分自身の本音に耳を傾けることの大切さというメッセージも込められていた。夢を叶えるための努力は必要。けれども自分の本心に気付いたとき、決してその夢に縛られることはないのだ。

 正しいと思って歩み始めた道でも、間違いに気付けば赤字を入れて修正すればいい。悦子のポジティブさとキラキラと輝く笑顔は、多くの人に“自分が決めた道を進む勇気”を与えたのではないだろうか。(nakamura omame)