シンガポールのアッシジ・ホスピスで、自らの写真展を背景にAFPのインタビューに応じるアラン・リーさん(2017年9月19日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】車いすに座り、酸素ボンベの力を借りて呼吸をしている姿は弱々しいが、写真家のアラン・リー(Alan Lee)さん(69)は手にしているカメラで、シンガポールにあるホスピスの入院仲間を撮影してきた。

 報道カメラマンとして活躍したリーさんは肺を患っており、自分の命がそう長くはないことを自覚している。だが、写真を撮る意欲は一向に衰える気配がない。

 アッシジ・ホスピス(Assisi Hospice)の患者たちがさまざまな活動に楽しげに参加している様子を捉えたモノクロ写真。リーさんは写真展を開き、そのうちの19枚を展示した。

 リーさんは、たとえ死期が近づいていても人生をあきらめる理由はどこにもないというメッセージを伝えたいと話す。

「私がここ(ホスピス)に来たのは死ぬためではない。私は今でも写真を撮りたいのです。写真を撮るのをやめる理由はありません」。患者用のガウンを着たリーさんは穏やかな声で、ぽつりぽつりと語った。

「ホスピスに入る人は、自分はこれから死ぬんだという心持ちになりますが、私はそれを変えたかった。私にできる唯一の方法が、自分の写真を通してそのことを伝えることなんです」

 国内誌のカメラマンとして活躍し、若い頃には東南アジアの大きなニュースの数々を報道したリーさん。妻とは離婚し、息子が2人いる。

 今は、避けては通れない運命を淡々と受け止めている。「恐れても何にもならない…死ぬのを恐れるのは悲しい人です」と、リーさんは言う。「クレイジーなおやじ」として自分のことを覚えておいてほしい。それがリーさんの望みだ。
【翻訳編集】AFPBB News