難敵オーストラリアを下して本大会出場を決めた日本代表。試合を決める弾丸シュートを放った男の意外な過去に迫る。

■本田圭佑や香川真司からの世代交代か
 8月31日、アジア最終予選の豪州戦に2-0で勝利し、6大会連続のW杯本大会出場を決めたサッカー日本代表。本田圭佑(31)や香川真司(28)を起用しないハリルホジッチ監督の采配を疑問視する声もあったが、「終わってみれば、浅野拓磨(22)、井手口陽介(21)といった若手の2人が得点を決めて、難敵オーストラリアに完勝。世代交代を感じさせる試合となりました」(全国紙運動部記者)

 アジア予選では豪州に一度も勝ったことがなかっただけに、値千金の勝利。「疲労がピークに達する後半37分で、ダメ押しの2点目を決めた井手口の弾丸ミドルは強烈でした。70分を過ぎてからの驚異的な運動量は、欧州でも通用しますね」(サッカー専門誌記者)

■Jリーグのガンバ大阪でもヤンチャ
 もはやサッカー界の番長たる井手口。伝説的エピソードは数多く、所属チームのガンバ大阪でもヤンチャが過ぎるという。「ガンバは規則が緩いんですが、その中でも、井手口は金髪や銀髪、チョンマゲなど、派手な髪型にこだわっています。先輩から諭されても“テヘッ”と受け流し、場を和ませるなど、可愛がられています」(前同)

 福岡出身で、プロ入り前から悪童ぶりで鳴らしていたという井手口だが、小学生の頃に所属していたカメリアFC代表の加藤氏は、当時についてこう語る。「あの頃の福岡のサッカー関係者の誰もが、井手口は将来、バケモノになると言っていました。体格は普通だけど、彼のサッカーセンスは同年代の誰よりも図抜けていました。ピッチの中でも外でも、ヤンチャな子で目立っていましたねえ」

 その後、母の勧めもあって、ガンバ大阪ジュニアユースのセレクションを受験して合格。大阪に居を移し追手門学院高校に進学した。「高校に進学したものの、勉強が大の苦手。授業は遅刻ばかりしていて、16歳の春には学業は諦めたようです」(スポーツライター)

 こうしたこともあってか、今もインタビューが苦手。「豪州戦後のたどたどしいインタビューを見ても分かるように、ボキャブラリーが少なく、人前で話すのが不得手。彼は口癖のように、“僕、バカなんで”と言うんですが、勉強を疎かにしたツケでしょうね」(前同)

 そんな井手口に転機が訪れたのは、高校2年のとき。母親が大病を患ったのだ。「当時、練習もサボりがちで荒れた生活を送っていた井手口ですが、母親の病気には相当参ったようです。自分が倒れて動揺する息子を見て、“もう勉強はいいから、サッカーだけは一人前に。誰にも負けない選手になりなさい”と言ったとか。この言葉に一念発起して、サッカーに集中。ガンバに入団しA代表に呼ばれるまでになりました」(同)

■19歳で結婚に至るエピソードも異色
 井手口の座右の銘は“何事も我慢が大事”というが、これは幼い頃から母が言い続けてきた言葉だという。母との約束を果たした井手口だが、結婚に至るエピソードも異色なものだ。「井手口は19歳で結婚しているんですが、交際中の女性の母親が大病を患っていたために、恋人の母親を安心させるべく結婚に踏み切ったとか」(同)

 合コンに明け暮れる浮わついたJリーガーとは違う心構えと言えよう。また、ヤンチャという言葉では収まらない高校時代の逸話を、井手口の担任教師が話してくれた。「高校2年生のときの学年柔道大会では、副将を務めました。柔道の経験はなかったにもかかわらず、戦う相手すべてにオール一本勝ち。在学中から身体能力の高さが際立っていました」

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』の著者で、柔道経験者の増田俊也氏が解説する。「高校時代、よく運動部同士で相撲を取りましたが、とにかくサッカー部の人間は投げづらかった。体格に勝る野球部は投げられても、サッカー部は投げられない。足腰がとにかく強いんです。意外に思われるかもしれませんが、柔道家にはサッカー、サッカー選手には柔道と双方のクロストレーニングは非常に有効なんです」

■伝説の空手家・大山倍達もサッカー選手の戦闘力を指摘
  格闘技と球技と種目は違えども、ともに足腰が重要なのだ。そして、あの偉人もサッカー選手の戦闘力の高さを指摘していた。「“サッカー選手に空手を教えると、短期間で高度な蹴り技を身につけてしまう”と、大山倍達先生がよく言っていました。井手口選手も格闘技をやれば、気も強そうですし、相当な格闘家になるはず」(増田氏)

 伝説の空手家も認めたであろう井手口のポテンシャル――W杯本番、ロシアで大暴れする姿が待ち遠しい。