どうしても入れたい場合は成人になってからが良さそう

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タトゥーやピアスはファッションとして若者の間に浸透しているが、未成年にどのような影響を与えるのか不明な点も多い。

そこで、米小児科学会(AAP)は同学会や全米各地の医療機関、研究施設が収集したタトゥーやピアスが身体に与える影響を分析したデータを収集。学会による臨床レポートとして2017年9月19日に発表した。

レポートでは身体的な影響以外にもいくつか興味深い結果が記載されている。

傷がケロイドになるリスクが高い

米国の調査会社ハリス・ポール社が2016年に行った調査では米国人成人の10人中3人がタトゥーを入れている。

AAPのレポートによると、未成年に限定した全国的な調査は実施されておらず、州や医療機関単位での個別のデータとなり、年齢層によって微妙な違いはあるものの全体的にはタトゥーやピアスへの関心は増加傾向にあるという。中には8歳でタトゥーを入れたという報告もあった。

では、健康への影響はどのようなものがあるのか。2007年にタトゥーやピアスのある成人は薬物使用や暴力性、武器使用、摂食障害、自殺などとのネガティブな関係があると指摘する報告が発表されたこともある。

しかし、AAPは「エビデンスレベルが高いとは言えず、なんらかのリスク行為の指標となる可能性はあるが、精神科医などともに注意深く観察する必要がある」として懐疑的な姿勢を示している。

では身体的な影響はどうだろう。皮膚に傷をつける入れ墨タイプのタトゥーやピアスには合併症や感染症のリスクがあり、異物を体の中に入れるためアレルギー発症リスクも懸念される。

レポートでは「タトゥーやピアスによる合併症や感染症のリスクがどの程度になるのかは不明」とし、「年齢に関係なくタトゥーやピアスがある場合は体調の変化に注意すべき」とされていた。

皮膚に傷をつけずボディペイントのように肌の上にペイントする「パーマネントメイク」や「ヘナ」は入れ墨タイプのものに比べて安全であると言われることもあるが、これらのボディペイント後にアレルギーを発症したり感染症による炎症を起こした症例が確認されており、AAPは「入れ墨よりも安全なわけではない」と警告している。

未成年特有の問題としてレポートで指摘されているのは、肌に生じる「肥厚性瘢痕」、いわゆるケロイドだ。傷跡が綺麗に再生せず、肌が盛り上がったような状態になることだが、未成年は成人に比べタトゥーやピアスを入れた部位がケロイドになりやすいという。

有色人種は特にケロイドが生じやすいことも確認されており、AAPはレポート内で

「アフリカ系やアジア系の家族は子どもがタトゥーやピアスを希望する場合、ケロイドリスクが高いことを伝えるべきだろう」

と指摘していた。

米国はタトゥーに寛容かと思いきや

レポートはタトゥーやピアスが与える社会的な影響についても分析しており、興味深いデータも記載されている。

例えば、タトゥーやピアスを入れていることについて86%は後悔していないが、未成年で入れた場合と成人以降に入れた場合を比較し、ある程度の年齢に達した時に同様の質問をすると前者では後悔をする人が増加する。これは、成長するに従い価値観や行為の意味、自身の規範が変化するためだという。

また、タトゥーを入れている人の72%は衣服に隠れる部位に入れており、理由として仕事上の問題や対人関係を挙げていた。米国社会はタトゥーやピアスに寛容な印象もあるが、拒否感を持つ人も少なくなく、法律や条例で見える場所にタトゥーを入れることを禁じている地域も存在するという。

AAPも「(目に見える部位の)タトゥーは社会で広く受け入れる状況になっていない」とし、「未成年が衝動的に顔などにタトゥーを入れると、将来的な雇用や社会的孤立につながる可能性もある」と説明。

レポートの筆者のひとりであるデビッド・リーバイン医師は、次のように指摘している。

「保護者もタトゥーやピアスをするなと言うのではなく、これらがもたらすリスクを正しいコミュニケーションで伝える必要がある。性教育に関する会話は思春期に入る前の11歳ごろから始めるのが理想的だが、タトゥーやピアスも同様のトピックとなる」