マウスの胚幹細胞を使った研究に臨む仏研究者(2012年2月9日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】英国の研究チームはこのほど、ゲノム編集技術を使った実験で、初期ヒト胚における「OCT4」遺伝子の役割を特定することに成功した。今回の成果は、不妊治療の増加につながる可能性もある。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、研究チームは、「CRISPR-Cas9」と呼ばれる遺伝子改変技術を使用して、受精卵からOCT4遺伝子を切り取った。同遺伝子をめぐっては胚形成時に重要な役割を持つと考えられていた。

 論文の執筆者らは20日に発表したプレスリリースで、「受精した卵子は細胞分裂を繰り返し、約7日後におよそ200個の細胞でできた球状の『胚盤胞』を形成する」と説明。「今回の研究では、ヒトの胚が胚盤胞を正しく形成するためにOCT4が必要であることを確認した」と述べた。

 研究に参加したフランシス・クリック研究所(Francis Crick Institute)の科学者らは、ヒト胚の遺伝子の機能を研究する目的で遺伝子改変技術が使用されたのは今回が初めてとしながら、初期胚発生に関する理解を深めるための一助となるだろうとコメントした。

 遺伝子改変技術では、病気を引き起こす胚中の遺伝子を切除したり、より栄養価が高く病気に強い野菜や家畜動物を作り出すことが理論上は可能となっている。しかし将来的には、特定の長所を持ついわゆる「デザイナーベビー」にもつながる恐れがあるとして、一部からは批判的な意見も出ている。
【翻訳編集】AFPBB News