専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第122回

 現在、日本には2400ぐらいのゴルフ場があるのですが、大手でゴルフ場をグループ化しているところだと、1社で100以上ものコースを持っています。その他、準大手や、どこかの傘下に収まっているコースなどを合わせると、おそらく半分以上のコースが何かしらのグループに属し、日夜営業活動に勤(いそ)しんでいます。

 では、グループ制にすると、どんなメリットがあるのでしょうか?

 正直、それはいいところがありまくりで、むしろデメリットはほとんどないと言えます。

 まず、コース管理の肥料や砂などの資材、レストランの食材などは、グループで一括購入すれば、それだけ安く手に入ります。さらに、コースの用具や機材、練習ボールに至るまで、大量購入のメリットは計り知れません。

 加えて、ゴルフ場のレストランの味も、ファミリーレストランで慣れた世代にとっては、マニュアル化された料理のほうが美味しく食べられるのではないでしょうか。

 そもそも、ゴルフ場のレストランは自社で賄っているところは少なく、どこぞのレストラン会社に委託するケースが多かったのです。じゃあ、「専門業者がやるから美味しいのだろう」と思うでしょ? 

 ところが、委託された業者もボランティアじゃないので、利益を上げなければなりません。結果、安い材料を使って、メンバーから「(料理が)まずいぞ」とクレームがくることがしばしば。以前、私がメンバーだったコースもそうでした。もちろん、今は改善されていますけどね。

 結局、大きなグループ企業が運営するゴルフ場のレストランだと、ひとまず最低ラインの味の基準を作ります。ですから、「まずい」と言われることはほとんどありません。逆に「美味しくなった」と言われることのほうが多いくらいです。

 また、グループ化することで、集客面での効果も大きいと思います。何よりグループ企業のホームページを通して、幅広い宣伝が可能になりますから。友の会やWEB会員、そして系列コースの割引などの制度も、グループ内に多くのコースがあることで、お客さんにおトク感を与えることができます。格安の料金プランなども、グループだからこそできるメリットがあるのではないでしょうか。

 要するに、グループであれば、こまごました資材や食材が団体一括購入で安くなり、集客面においても大規模に展開できて効果的ではないか、と言いたいのです。

 じゃあ、他の独立系コースもグループ化すればいいじゃないか?

 早い話、そうなんですが、それは簡単にいく話じゃないんです。グループ化された日本のゴルフ場の多くは、経営権を譲渡してグループの傘下に入るわけで、コンビニエンスストアのフランチャイズみたいに、暖簾は大手だけど、経営は元の会社(個人商店など)がやっている、といった例は非常に少ないのです。

 そこで、浮上したのは「星野リゾート方式」というやつです。経営不振に陥ったリゾート施設や旅館などを再生する運営会社として有名な星野リゾートですが、その多くの施設は星野リゾートが運営のみを行なって、もとの不動産や経営権については、昔ながらのオーナーが持っているという形式が多いそうです。

 独立系のゴルフ場としては、将来的にはそんな”星野リゾート化”したい、という思いがあるようです。すでに現在、それと似たような形で独立系コースに貢献している会社もあります。「ネット予約」と「コンサルティング」などの会社です。

 今や単体で運営しているコースでも、プレー予約については、大手の予約サイトやコンサルティング会社に頼っている部分が大きいです。ですから、ここ15年ぐらいは、営業面はかなり楽になったと思います。

 ただし、遠隔地や人気のないコースは、料金を叩かれます。「この値段では、近隣のコースに負けてしまうので、もう少しお勉強しましょう」などと、予約サイトやコンサルティング会社から注文をつけられてしまうのです。

 確かにそうなんですよね。先日も、早朝でひと組1万円というプランを知り合いが見つけてきて、「行かないか?」と誘われました。4人なら、ひとり2500円ですからね、かなりおトクです。しかも、食事が付いているって、信じられません。

 じゃあ、行ったのか? いやぁ〜、都内からあまりにも遠い場所でしたから、交通費だけでも5000円を超えるので、「むしろ、割高だろう」って話になりまして……。そういうのは、地元の人とか、現地に泊まって連チャンでプレーする人向きかもしれませんね。

 そんなこんなでインターネットのおかげで、独立系コースでもプレーの予約などの営業に関しては大きな問題はないようです。予約サイトやコンサルティング会社との関係から、ホームページを作成してもらったり、さらなる営業強化のアドバイスを受けたり、ということも進んでいるようです。

 独立系コースにとって問題は、メンテナス等の運営面です。いかに必要経費をコストダウンするかですが、そこでは正式なコンサルティング会社が介入してくる場合があります。

 でも、あまりにも同族的、家族的というか、独立系コースの経営・運営実態に驚いて、コンサルティングする側がその話をする前に、「いっそ、何億円で売ってしまったら?」「買い手を探してあげますよ」的な、動きになってしまいがちなんだとか。

 ちなみに、売りに出ているゴルフ場の値段って、恐ろしく安いですよ。基本、メンバーに対する債務をナシにしてあって、つまり会員権の払い戻し義務がないのが理想ですが……。まあ、それがあったとしても、そこはいろいろ条件闘争をして、安く収めていますけどね。

 だいたいゴルフ場って、造るのに最低でも50億円ぐらいかかりましたって時代のものが多いです。その当時、名門コースなんかだとクラブハウスだけで30億円かけて建て替えた、なんて話をよく聞きます。

 それを、だいたい10億円前後で売りに出してしまうのですから、びっくりですよね。遠隔地にある場合だと、3億円とか、1億円とかで売られたコースもあるという話を聞きました。


ゴルフ場が都内の高級マンションと変わらぬ価格で売買されてしまうとは......

 都内の高級マンションを買うお金で、ゴルフコースのオーナーですよ。なんならクラブハウスに住むこともできますから、ちょっとしたお金持ちなら、別荘を買ったと思えばいいんじゃないですか。夢がありますねぇ〜。

 とはいえ、実際にコースを買ったとしましょう。コースの管理というのが、すごくお金がかかるわけですよ。グリーンって、毎朝カットするって知っていました? そういうメンテナンスの維持費が、最低ラインでも年間1億円ですからね。「うちのマンションの管理費は月3万円なんだけど、それぐらいならコースを買ってもいいけど」って、そんなのあるわけないでしょ。

 とまあ、そんなこんなで独立系のゴルフ場は、決してお客さんが多いという状況ではない中、運営維持費にお金がかかってしょうがない。これが、現在の悩みの種です。

 アメリカの一部のコースじゃ、管理をあまりせず、ラフも伸び放題にしているけど、安くプレーできるコースが結構あります。そのうち日本でも、メンテはイマイチなんだけど、1ラウンド1980円なんてコースが登場するのでしょうか。

 ゴルフ場にとっては今が、コースの運営や集客において正念場かもしれませんね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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