『おそ松さん』『コードギアス』声優・福山潤、人気の秘訣は“職人気質”にあり?

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 今年で声優活動20周年を迎えた、人気声優の福山潤。年間10本以上のアニメ作品にコンスタントに出演しているほか、今年10月からは『おそ松さん』2期の松野一松役、劇場版『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズのルルーシュ・ランペルージ役など、話題作の公開も控えている。

参考:「おそ松」声優・櫻井孝宏、デビュー20年にして人気衰えぬワケ 陰のある声の魅力に迫る

 キャリアを持つ実力派声優とあって、アニメ作品では主役を担当することが多い福山。彼が過去に演じてきた役柄は常識的な“メガネキャラ”が目立つものの、ファン人気の高いキャラで見れば、あまり統一感がない印象だ。イケメンかつイケボの声優は王子様キャラ、個性派声優は独特なキャラを演じることが多いなど、人気声優ほど、声優本人の個性に寄った配役になりやすい。しかし、福山にはそうした傾向が見られにくく、どちらかといえばニュートラルな立ち位置だ。さまざまなキャラクターを演じこなす福山の多面性は、いったいどこから生まれているのだろうか。

 「じゅんじゅん」や「ふくじゅん」などの愛称で知られる福山は、「好きな女の子が声優を目指していたから」という不純(?)な動機で、自身も声優業界入りを果たした。デビュー後は着々とキャリアを築き上げ、数々の声優賞を受賞。海外での知名度も高い。さらに、30歳を過ぎてからは、声優業のかたわら歌手として音楽活動にも精力的に取り組み、今年6月にはフルアルバム『OWL』をリリースしている。

 もともと声優という職業に強い憧れや情熱を抱いていたわけではないためだろうか、福山の語る“声優観”は少々控えめで、どこか俯瞰的な態度すら感じられる。確かに、ひと昔前の声優は、“声”のみで勝負する裏方的な職業だった。しかし、今時の声優は声以外のビジュアルやキャラクターにも注目され、どこかアイドルやタレントにも近い、花形的な存在となっている。福山はそういった“花形のスター”になりたいというよりは、どちらかといえば裏方志向で、声を使った“職人”を目指す意識が強かったという。

 これまで演じてきたキャラクターについても、「たまたま僕が多く主人公をやらせてもらっていたときって、『日本はどこに行くんだろう?』って、よくわからない時代だったんですね。だから、主人公も熱血漢からナイーブな子まで、何でもありのバラバラで」(参考:ライブドアニュース/福山 潤「喋ることは僕にとってのナルシシズム」――声優活動20周年に誕生した“多弁ヒーロー”)と、控えめに分析している。

 演じるのは基本的に少年〜青年が中心だが、配役によって声色が大きく変わるのも福山の特徴だ。『黒執事』のグレル・サトクリフ役では、ハイトーンのオネエ声。『七つの大罪』のキング役では、少年の姿と巨漢の姿で、まるで異なる2種類の声を使い分けている。一つの声色を武器にするのではなく、こうしてさまざまな声で勝負している点も、かなり職人的だろう。

 福山の持つ声優観はあまり前に出るようなものではないが、彼自身の個性は決して弱いわけではない。むしろ、かなり“キャラが濃い”タイプだと言えるだろう。福山はアニメ以外のサブカルチャーにも造詣が深いほか、自他ともに認める“おしゃべり”でもある。その口数の多さから、1stシングル「KEEP GOING ON!」には、「多弁ヒーロー JUN JUN MAN」と題されたショートコントも収録された。このショートコントは、『おそ松さん』の松原秀が脚本を担当。同じく『おそ松さん』や『コードギアス』シリーズでも共演した櫻井孝宏もゲスト出演している。10年来の付き合いということで、過去には共演作も多い福山と櫻井。10月からスタートする新作アニメシリーズでは、このふたりの掛け合いにも期待したい。

 シリアスからコメディーまで、さまざまなジャンルの作品で幅広い役柄を演じてきた福山。確かに、彼の根本にあるのは“職人気質”なのかもしれない。しかし、仕事に向き合う堅実な姿勢と、持って生まれた周囲に愛されるキャラクターによって、正に“大スター”とも言える現在の地位が築かれたのではないだろうか。

■まにょライター(元ミージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。