人生の3分の1という長時間を費やす睡眠だからこそ、自分に合った寝具を選びたいもの。とりわけ、快適な睡眠に重要な役割を果たすのが「枕」です。大きさや素材、硬さなど、豊富なバリエーションの中から、自分に合った枕を見つけるためのポイントはどのようなものでしょうか。近著に「美人をつくる熟睡スイッチ」(ジービー)があるナイトケアアドバイザーの小林麻利子さんに取材しました。

そもそも枕を使うのはなぜか

 そもそも、人が眠る時に枕を使うのはなぜでしょうか。

「人は立っている時の姿勢を、横になってもそのままキープすることで快適に眠れます。重い頭部を支える頚椎は骨格に対して前方に屈曲しているため、仰向けに寝ると、頚椎と敷き布団の間に約6〜8センチのすき間が生じます。このすき間を埋め、頭部と頚椎を安定させるために枕が必要なのです」(小林さん)

 枕を頭の下に敷いて使っている人が多いと思いますが、小林さんによると、枕に頭だけを乗せる使い方は正しくありません。

「枕の下の方に頭を乗せるのではなく、肩口に枕が当たるくらい、深めに頭を乗せるのが正しい方法です。後頭部から首筋にかけて、全体で頭部の重さを支えることができるため、首や肩が疲れにくくなります。起床時に、肩や首の凝りや張り、だるさを感じる場合は、頭の乗せ方が浅く首に枕が当たっていない可能性があるでしょう」

枕が高いといびきや肩こりの原因に…

 また、自分に合った枕を選ぶことも重要です。枕選びのポイントは4つあります。

【高さ】

 枕が高すぎると気管を圧迫していびきの原因になるほか、首筋や肩の凝りが起きやすくなります。反対に低すぎると、血液が頭に下がって寝付きが悪くなり、むくみの原因となります。

「枕の高さとは、頭を乗せて沈み込んだ状態の高さのこと。姿勢や骨の並びに個人差があるように、理想の高さは人それぞれです。また、寝返りによって、仰向けや横向きになるので、各体勢で適切な高さを見定める必要もあります。お店で横になって確認してください」

【大きさ】

 寝返りは、熟睡するために必要な要素の一つ。人は、ひと晩に20回以上の寝返りを打ちますが、寝返りをスムーズに打てずに同じ体勢のまま眠ると、全身の血液循環が悪くなり、疲れが取れにくくなります。

「無理なく寝返りが打てるように、頭が落ちにくく、左右に動いても余裕のあるサイズが理想的です。目安は頭3個分の大きさ。横幅60センチ以上、奥行き40センチ以上あると、肩口までカバーできます」

硬さや素材も大切なポイント

【硬さ】

 硬さの合っていない枕を使用していると、頭をしっかり支えることができず、首や肩の筋肉が緊張して血行不良の原因になります。また、首や頭の重さが分散されにくくなり、神経が圧迫されると不眠症につながる恐れも。

「理想的な硬さは、頭と首を圧迫せずにきちんと支えることができる硬さ。柔らかすぎると頭が深く沈み込んでしまい、首に負担がかかってしまいます。また、頭と枕の接触面が広くなるため、寝苦しさを感じやすくなります。反対に、硬すぎると接触面が少なくなり、後頭部だけで支える状態になるため、首筋が不安定に。硬さは素材によって変わるため、実際に素材別の沈み方を確かめるとよいでしょう」

【素材】

 素材は、リラックスできるかどうかが大きなポイント。熱がこもらず、汗の吸放湿性に優れた、通気性のよいものが最適です。汗をかきやすい人は洗濯できる素材を。

(オトナンサー編集部)