寝込む子ども

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子どもがかかる病気としては、比較的メジャーなものとして知られる「胃腸炎」。正しくは「感染性胃腸炎」と呼ばれるこの病気だが、私たちの体は一体「なに」に感染しているのだろう?

亀戸内科クリニック院長の荒木正先生に、胃腸炎にまつわる疑問について話を聞いた。

●幼児の胃腸炎で多いのはウイルス性

「まず、胃腸炎には細菌性とウイルス性の2種類が大半を占めます。サルモネラやO-157などが原因の細菌性は、細菌が繁殖しやすい夏場に多いのが特徴。一方、ウイルス性はノロやロタなどのウイルスが原因。空気が乾燥する冬に流行します」(荒木先生 以下同)

原因となるおもな細菌、ウイルスは以下のとおり。

【細菌性胃腸炎の原因】

サルモネラ、病原性大腸菌、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなど

【ウイルス性胃腸炎の原因】

ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなど

夏には細菌性、冬にはウイルス性と、感染性胃腸炎は季節によって発症しやすさが違う。ほか、発症年齢についても顕著な傾向がある。細菌性胃腸炎は成人に多く、ウイルス性胃腸炎は乳幼児に多いのだ。だが、両者を判断するのは素人には難しいという。

「下痢や嘔吐、腹痛、発熱といった胃腸炎ならではの症状は、細菌性もウイルス性もほぼ同じ。ほとんどの場合、両者の症状がかなり酷似しているため、外来での迅速検査でも厳密に診断できるケースはあまり多くありません」

●感染しても発症しない人がいるのはなぜ?

だが、ウイルスや細菌が体内に入ったからといって、すべての人が等しく発症するわけでもないのだという。

「菌が体内に入って来ても、免疫能が正常に働いた場合は感染しても発症に至りません。これを不顕性(ふけんせい)感染といいます。実際、30〜50%の方では、ウイルスが体内に入って感染しても、下痢や嘔吐などの症状を発症しないとのデータもあります」

では、発症する人と、発症しない人の違いはどこにあるのだろう?

「たとえば、保育園や幼稚園で集団感染しやすいロタウイルスは、一度かかると免疫力がつくので、二度目にはかかりにくくなります。抗体を持っている場合や免疫力が高い人は、発症しても軽い症状で済み、そのまま治ってしまう場合もあります」

ただし、症状は軽く済んでも、ウイルスを持っている“保菌状態”であることに変わりはない。そのため、無自覚のうちに他者へウイルスを感染させてしまう危険性もある。また、幼児の感染は重篤になる可能性が高いので、普段から次のことを心がけておこう。

「予防接種を受ける、手洗いを徹底するなど、流行が防ぐ前から、感染予防の対策はしっかりと行ってください。もちろん、普段から規則正しい生活を送り、休養をしっかりとって免疫力を高めておくことも重要です」

うっかり感染して親も子もつらい思いをする前に、予防策として今からできることはある。流行がピークを迎える前から、家族全員で予防を心がけておこう。

(取材・文:阿部花恵 編集:ノオト)

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