原発から出る使用済み核燃料などの「核のゴミ」処理問題は、日本のエネルギー政策の根底に横たわる難題。ここに来て、その解決を模索する動きが出て来た

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「トイレなきマンション」の
トイレ役を買って出た企業とは?

 原発から出る使用済み核燃料など、いわゆる「核のゴミ」処理問題は、今の軽水炉型の原子力発電では技術上、原理的に解決できないまま、先送りされている致命的な難題である。その難題を解決する新技術を独自に考案・開発して、近く実用化へ向けた実証試験に入るというベンチャー企業が出てきた。

 この新技術とは、新しい核エネルギーである次世代のトリウム熔融塩炉の特性を存分に活かした「RinR」(Reacter in Reacter/炉の中の炉)というミニチュア炉だ。熔融塩炉が「核のゴミ」を完全に燃焼し、消滅するという。研究試験炉とはいえ、処理工程を既存の軽水炉で実施・立証できる点が最大の特徴で、世界で初めての挑戦である。

 その実証試験に臨む企業とは、政府系でもなければ、電力会社系でもない。実は、TTS(株式会社トリウムテックソリューション/本社・町田市/代表取締役社長・古川雅章)という街の独立系の研究開発型ベンチャー企業である。ミニチュア炉の試験を経て、最終的にはトリウム熔融塩炉による「核のゴミ」処理を目指している。

 これまでの研究開発に投じてきた経営資源は、純粋な自前の知財、協力企業から学んだものづくりの開発力、街の篤志家による必要資金の浄財(寄付)が全てであり、公的な支援や助成を受けたことはないに等しい。そんなベンチャーが国際的な難題を解決する新技術の実証試験まで漕ぎ着けたことは、小兵による自力の快挙と言え、国内外に波紋を広げそうである。

 これまでの原発事業は創業以来、致命的な難題である「核のゴミ」処理問題を解決できないまま先送りしていることから、「トイレなきマンション」と揶揄されてきた。新技術の「RinR」はこのトイレの役回りを引き受けて、懸案の難題を技術上、原理的に解決する熔融塩炉を実用化して、原発にイノベーションを起こそうとする取り組みだ。

 日本では東日本大震災以降、「脱原発」が取沙汰されているが、現在のエネルギー事情を考えると背に腹は代えられない状況もある。地球人口の推計値がアジア、アフリカ圏を中心に90億人に及ぶ今世紀の後半以降にほぼ確実に顕在化する爆発的なエネルギー需要に備えていくには、経済効率が最も優れている核エネルギーの積極的な活用なしには、対応できないという声もある。

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