トランプ米大統領が、11月に初来日する方向で調整が進んでいると、複数の政府関係者が明らかにした。天皇皇后両陛下との接見も調整中だという。ジャーナリストの歳川隆雄さんが言う。
 
「トランプ大統領が皇居を表敬訪問すれば、天皇皇后両陛下との写真や映像が世界中に配信されて、日米の強固な関係をアピールすることになるのは間違いありません」
 
政治部記者もこう語る。
 
「11月4〜6日の来日で調整が続いています。2泊3日ですと国賓となる可能性もあり、その場合は、天皇の歓迎式典、会見、晩餐会がワンセットで組み込まれます」
 
“暴言王”トランプ氏の来日には反発も予想される。イギリスではメイ首相が「トランプ氏をエリザベス女王が歓迎する国賓として招待する」と表明したところ批判が殺到。英議会のオンライン請願サイトには、招待に反対する186万もの署名が寄せられた。
 
皇室担当記者は、そんなトランプ氏の来日に違和感を禁じ得ないと話す。
 
「自らのツイッターで北朝鮮と舌戦を繰り返しているトランプ大統領は、天皇陛下と美智子さまのイメージから、もっとも遠い存在に感じてしまうのです。トランプ氏が両陛下に対面して、どんな言動を取るのか懸念を抱きます」
 
トランプ大統領が訪日する前後、両陛下のスケジュールは繁忙を極めている。
 
10月27日に九州豪雨被災地を見舞われ、28〜30日に福岡県で開催される「全国豊かな海づくり大会」へご出席。11月3日、文化の日には文化勲章の授与式があり、すぐあとには秋の園遊会、そして屋久島・沖永良部島・与論島へのご訪問も予定されている。
 
気がかりなのは、陛下のご体調だ。宮内庁は、外国要人との会見は1ヵ月前に連絡するルールを定めているが、これも両陛下に想定外のご負担をかけないよう配慮したもの。 
 
09年、中国政府がこの“1ヵ月ルール”を無視して求めた天皇陛下と習近平国家副主席(当時)との会見を、鳩山政権が一度は宮内庁に拒否されながらも強引に実現したことがある。
 
「陛下の国際親善は、政府のやることとは次元を異にするもので、政治的な重要性、懸案、政治判断を超えたところでなされるべきだ」
 
当時の羽毛田信吾宮内庁長官はこう発言し、政府への憤りを隠さなかった。トランプ大統領の来日は1ヵ月以上先ではあるが、過密日程の中での会見は心配だ。
 
今回、日米首脳会談のメインテーマは、緊迫する「北朝鮮問題」のはずだが、
 
「来日に合わせてゴルフも計画されています。米ツアーで活躍する松山英樹プロや日本ゴルフツアー機構の青木功会長が、トランプ氏と一緒にプレーする案も浮上しています」(皇室ジャーナリスト)
 
天皇陛下のご学友、明石元紹さんは、そんな“接待コース”に両陛下との会見が含まれているのではないかと懸念する。
 
「過去には陛下との会見が訪日の条件だったケースもありました。両陛下は相手がトランプ氏であろうと、米大統領としてしっかり接遇されることでしょう。たとえ陛下のお気持ちに沿わないことがあっても、それを表に出すことはできないお立場なのです」
 
懸念される点の多いトランプ氏の初来日だが、前出の文化学園大学客員教授の渡辺みどりさんはこう語る。
 
「トランプ氏に対しても、天皇陛下と美智子さまは、国際平和の視座に立ってお話されるでしょう。外国の首脳が両陛下のお人柄に感銘を受け、日本が再評価されたことも過去にあったのです」
 
どのような相手を前にしても、平和を希求する両陛下の信念が揺らぐことはない――。