保育園を作りたいと決意した筆者・小阪。よりよい保育園とはどんなものなのかと思案を巡らせた結果、小阪が導き出したのは3つ。ひとつめは保育者と保護者の連携がよく取れる園、ふたつめは……。

文・小阪有花

【グラドルから保育園へ】vol. 73

ひとりひとりと向き合える保育園を

私が保育園を作りたい理由の2つめは、ひとりひとりとちゃんと向き合える保育園を作りたい、という強い思いだった。個人と接する時間を持てる保育環境を、本当の意味で意識したいと思っていたからだ。よく、保育園のHPに記載されている言葉の代表のひとつとしてあるのが、「ひとりひとりの個性を尊重します」とのフレーズ。決まり文句のように書いてある言葉だが、正直、保育園でそれぞれの個性を尊重なんて、現実的に考えれば不可能だ。

保育園は基本、生活習慣を身につけさせ、集団行動を通して社会を知る場でもある。保護者にとっては、子どもを預ける場所と認識しているだろうが、子どもにとっては保育園は初めての社会現場なのだ。その社会現場で何が行われているかというと、生活の基礎を教えると同時にみなが同じリズムで生活できるように仕込まれている。仕込まれているという言い方はあまりよく聞こえないかもしれないが、子どもの安心安全を最優先し、また子どもたちが自分の命を守れるように育てるには、みなが同じ行動をし、基礎を身につけさせることはとても大切である。

結局は成長がはやいものが優秀とされている

しかし、この年齢の子どもたちの成長は、1か月で成人の10年ぶんに値するといわれている。よって、個人の差は出てきて当然。身につくものが早い子もいれば、遅い子もいる。学年は同じでも、生まれた月齢の差は能力の差に大きく響く。それでも、子どもたちは同じように生活習慣を身につけるよう促されてしまう。この年齢は、これくらいはできないといけない。この年代は、ここまでしてもらわないと次にこれができないなど、個性を尊重するといいながらも、集団行動をしている以上、各個人のペースは尊重できないのが現実である。

私は、保育園の「ひとりひとり」という謳い文句にずっと不快感を感じていた。保育園は、働く親にとってはありがたい場所であり、子どもたちにとっても、お友だちと会えて、いろいろな発見があって楽しい場所ではある。しかし、「ひとりひとりの個性と向き合う」に関しては、異なる場所だと強く感じ、疑問ばかり浮かんでいた。個性を尊重するといいながら、結局成長が早いものが優秀とされていることに納得いかない。本当の意味で、子どもと向き合う保育園を作ろうと考えた。

こさか ゆか/保育園プロデューサー リバイバルミーティング代表。チャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラー、幼児食インストラクター、ベビーシッター資格習得。 2004年ミスマガジングランプリを獲得し芸能界デビュー。グラビアアイドルとして活躍後、2009年に引退。現在は子どもの心スペシャリストとして活動中。

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