4月26日、大連港から離岸する中国初の空母「遼寧」(STR/AFP/Getty Images)

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 中国当局は、遼寧省で今年5月に拘束していた60代の日本人男性を、4カ月後の9月18日に逮捕したと発表した。中国共産党は今年、抗日戦争(日中戦争)の期間を1931年の同日に勃発した満州事変から数えた14年間(1931〜1945年)にすると決定しており、事件を強調する狙いがあったとみられている。

 日本政府は19日、60代の日本人男性について、中国の捜査当局に逮捕されたことを確認したと発表した。外務省は今後、在中日本公館などを通じ、男性の保護のために家族への連絡などの支援を行う。

 環球時報など中国メディアは18日、日本国内の報道を引用し、逮捕された日本人男性が、4月に大連港に浸水した初の国産空母に関する軍事機密にかかわった容疑がもたれていると報じた。

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 伝えられるところによると、中国側がみなした男性の「スパイ容疑」とは、昨年、建造中の空母を男性が撮影し、日本のマスコミに提供したことが、可能性として挙げられている。男性は昨年12月、遼寧省で建造中の初の国産空母を撮影し、共同通信社へ画像を送信。10日には同社が画像を広く報道した。男性は同社関係者との見方もある。

 2015年以降、中国でスパイなどの容疑で拘束された日本人は少なくとも12人に上る。

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 近年、中国では、反スパイ法、国家安全法、反テロリズム法、外国NGO管理法が施行されるなど、国家安全に対する取り締まりを特に強化している。また今年4月、北京市では、市民によるスパイ情報の通報を奨励するとの規則が制定された。

 男性が5月に拘束されたことを受けて、外務省は中国における法人に対する警戒情報として「スパイ行為の疑い、軍事施設の写真撮影や未開放地域への侵入、無許可での測量や地質調査等で、身柄を拘束されることがあり得る」と注意喚起を促していた。 

 外務省は、日中関係の歴史において、中国国内で反日感情が高まりやすい時期に邦人や日系企業を狙った抗議行動が発生する可能性があるとし、特に「7月7日の盧溝橋事件発生の日(2017年は80周年)、8月15日の終戦記念日、9月3日の中国における「抗日戦争勝利記念日」、9月18日の満州事変(柳条湖事件)勃発の日,12月13日のいわゆる「南京事件」(同80周年)」を例に挙げていた。

 今回、4カ月も拘留されていた日本人男性の逮捕が、満州事変勃発の日であり、当局は「満州事変記念日」と定める9月18日に発表された。台湾メディア・中時電子報は18日、中国当局側の意図として「日本に対する警告、国辱を忘れてはいけない」とのプロパガンダの要素の強さがうかがえる、と指摘した。

 中国は今年、「抗日戦争(日中戦争)」期間を、これまで盧溝橋事件から数えた8年間(1937〜45年)から、満州事変からの14年間(1931〜45年)に引き延ばすことを決定し、全国の教科書の改訂を進めている。

(編集・甲斐天海)