セットプレーから失点し、FC東京に0-1で敗戦。ただし守備面ではここ数試合で一番メリハリが利いていた。写真:田中研治

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 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第25回。テーマは「セットプレー」だ。前節の鳥栖戦、そして今節と、チームはリスタートから失点を喫してしまった。その点を渡邉監督はどう受け取っているのだろうか。
 
 FC東京戦でゴールを許してしまったことやゾーンディフェンスに変更したきっかけ、現状での手応えなどを赤裸々に語ってもらった。
 
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[J1リーグ26節]FC東京 1-0 仙台/9月16日(土)/味スタ
 
 FC東京は監督交代(9月10日に篠田善之氏が退任、安間貴義氏がトップコーチから昇格した)からの初ゲームで、非常に大きなパワーが生まれるタイミングだった。実際に相手のスプリント数は200回を超えるなど、直近4試合の映像とはまったく違うチームだった。
 
 ただ、安間さんが指揮を執ることで「こういうことをしたいのだろう」という予測は立てていて、戦い方も想定の範囲内ではあった。それに対して、守備面では前からプレスを掛けることに成功し、仮にそれを上手く剥がされても次善策が機能しており、ここ数試合で一番メリハリが利いていたと思う。
 
 CKから失点を喫して勝点を逃す結果となったが、締まった試合は得てしてセットプレーが分水嶺になる。あのシーンはCKが2本続いて、その2本目で得点を許したのだが、1本目に餌を撒かれていた。
 
 そこに食い付いて、先に動いたところをやられてしまった。相手の駆け引きの上手さ、そして餌を撒いた場所にピンポイントでボールを送るキック精度も持つ選手が相手には存在した。
 
 うちはゾーンで守っているのだが、「ゾーンディフェンスだから失点した」というわけではない。マンツーマンにしても、メリットとデメリットはあり、世界トップクラスの強豪であってもセットプレーに対するパーフェクトな守備を確立しているわけではなく、度々、ゴールネットを揺らされている。
 
 むしろ、CKそのものよりも前段階に注意を払いたいと考えている。今回のCK数は「1:6」。前述したが、6本のうち2本を続けざまに与えてしまった。そこに改善の余地はある。
 
 遡って考えるが、後半開始直後から失点するまでの約20分間はセカンドボールの奪取率は著しく低下し、押し込まれる展開となってしまった。そこでマイボールにできていれば、流れは変わっていたはずだ。
 
 では、なぜ前半と違って後半にセカンドボールを拾えなくなってしまったのか。それはFC東京の戦い方の変化にもあるような気がする。
 最初の45分間は「確実につなごう」という姿勢が見て取れ、それにうちが前線からプレッシャーを掛けていた。そのため、厳しい状況になってからロングボールを放り込むような形になり、ボールがそのままタッチラインを割るシーンもあった。
 
 それに対して、後半は「シンプルに相手陣に入る」というプレーが増えた。そのため、うちが前掛かりになったこともあって、ボランチの頭を越えたボールに対して戻り切れずにセカンドボールを拾われてしまった。
 
 改めてセットプレーについて話しておくと、ゾーンディフェンスを取り入れたのは2015年シーズンからだ。マンツーマンで守っていた14年の失点シーンを振り返った際に、ブロックされてマークを外される場面が目に付いた。
 
 その修正案を考えた時に、あるチームのゾーンディフェンスをうちが攻略しにくかったことを思い出し、それを参考にした。
 
 選手たちには守り方のメリットとデメリットをしっかりと説明して、微調整を繰り返しながら、相手がつけ込んでくる隙をなくそうという取り組みを行なってきた。スタッフから促しているものもあれば、選手間の話し合いで修正された部分もある。