火曜ドラマ『カンナさーん』(TBS系)の最終回が、9月19日に放送された。これまで幾度も困難にぶち当たってきたカンナ(渡辺直美)だったが、最終回では最後の壁を乗り越え、家族との幸せな生活を掴み取る姿が描かれた。

(参考:TBS火曜10時ドラマ、なぜ心に響く? 『逃げ恥』から『カンナさーん!』まで通じる作風

 第9話で繰り広げられたデザインコンペでは、同僚の翔子(トリンドル玲奈)が選ばれ、カンナはこれまで勤めてきたブランドを去ることになるが、自分らしいデザインにこだわったカンナに悔いはなかった。だが、その後の転職活動では「よほどのキャリアか実力がないとね」「あなた程度のデザイナーはごまんといます」「うちが必要なのは即戦力なんです」とめった打ちにされ、カンナも意気消沈。それでも、「いかん! 暗い顔してる」と自らを奮い立たせるカンナの姿は、これまで彼女の姿を応援してきた視聴者にとってはおなじみのものだろう。第1話で夫の不倫を知って、雨の中すぶ濡れになりながらも「2時間後には絶対笑い話にしてやる」という強気な姿勢を見せて以来、カンナはどんな状況でも笑い飛ばしてきた。

 大きな仕事を終え、やっとカンナと息子の麗音(川原瑛都)を迎えに行けると喜んでいた元夫の礼(要潤)は、クライアントの企業が倒産し、5000万円の借金を抱えることに。父・徹三(遠山俊也)と母・柳子(斉藤由貴)にお金を貸してほしいと頼みに行くが、徹三から「礼のためにはならないな」と、自分自身でなんとかするように諭される。手を差し伸べようとする柳子に徹三は「私たちが下手な尻拭いをしてたら、礼はいつまでたっても本当の力は出せない」と言い放つと、礼に向かって「後がない覚悟で自分の力で這い上がりなさい」と伝える。かつて、カンナを裏切り、家族を壊した礼。もう一度、2人を迎えに行くため、カンナに家を買い、大きな仕事をやり遂げた。

 だが、それだけでは本当のけじめをつけたとは言えない。柳子は徹三の言葉を受け、礼に対し「今のあなたじゃ2人を幸せにすることはできない」と、カンナと麗音ときっぱり縁を切るように迫る。礼は「これ以上、カンナに心配かけたくない」という思いから柳子の言葉に頷く。ずっと自分のことしか考えていなかった礼が、家族のことを一番に考え、どういう行動を取るべきか決断する姿には、彼の中に変化が現れていることを示していた。

 後日、礼は、カンナに別れを告げるためについた嘘が一瞬でバレると、マンションを売ることを提案される。「全部なくなるわけじゃないから」そういって、礼からの気持ちを十分に受け取っていると熱弁するカンナに説得され、借金を少しでも返済するためにマンションを売ることを決意した。

 急遽、日本へ戻ったニック難波(加藤雅也)の後押しもあり、もう一度、カンナの元へ向かった礼。しかし、礼が「カンナと麗音のそばにいさせてくれ」と言う前に、カンナがストップをかける。カンナは、自分が礼のことを迎えにいけるように、礼と麗音のために働くことを伝え、「今は2人とも苦しいけど、麗音と3人で2年後には全部笑い話にしてやろうぜ」と最後の最後まで、男気のあるセリフを返していた。借金を抱えてピンチの礼を、カンナの笑顔が跳ね返した瞬間だった。

 「辛い時こそ、1日1回でも一緒に笑い合おう」。カンナが礼に向けて伝えた言葉は、これまで本作を観てきた視聴者にも向けた最後のメッセージだ。家庭、会社、学校……社会で生きていく中で、時にピンチが訪れることはある。しかし、そんな時こそカンナのように、笑って跳ね返す勇気が欲しいものだ。

(大和田茉椰)