2017年8月、アイドルグループ・Kis-My-Ft2のメンバーである横尾渉さんが「1級マグロ解体師」に合格したことが話題になりました。約2カ月にわたって訓練を積み、一度は不合格になるも2度目の挑戦で見事合格。現在、1級を取得しているのは全国でわずか8人しかいない、超難関の試験といいます(※横尾さんは条件付き1級)。

 巧みな話術とともに、長尺包丁で豪快にマグロをさばく実演は、まさに「食のエンターテインメント」。この迫力あるショーを行うマグロ解体師とは、どのような資格でしょうか。「マグロ解体師エキスパート検定」を主催する全国鮪解体師協会の木村英喜代表理事に聞きました。

マグロの素晴らしさを伝える

 同検定はマグロ解体の知識と技能に優れたプロフェッショナルを認定するものです。

「日本の代表的な水産物であるマグロについて、その歴史や産地の特性、分類、生態などを熟知し、専用の包丁を使い分ける技能を身につけ、マグロを解体しながらその素晴らしさを伝えることができるスペシャリストを認定しています」(木村さん)

 現在、同検定には3つの級があり、それぞれの認定条件は以下の通りです。

【3級】

 マグロの基礎的な知識を持ち、楽しく、わかりやすくマグロの説明や口上を立てられることが認定条件です。一定の基準を満たさないため、解体は行えません。

【2級】

 マグロの基礎的な知識を持ち、正しくマグロを解体できるのが認定条件です。一定の基準を満たさないため、口上は行えません。

【1級】

 マグロの基礎的な知識を持ち、説明や口上を行いながら、専用の長尺包丁を使用してマグロを解体できることが認定条件です。1人で解体ショーができるのはこの1級のみで取得者は2017年8月現在、日本でわずか8人。

「検定に合格すると協会の認定証と携帯用の認定カードが発行されます。さらに、有資格者を優先的に雇用する求人先の情報提供や、各種イベントにおける仕事の紹介、開業希望者に対しての資金や経営に関する『エリアパートナー制度』に関する相談など、資格取得後のサポートも充実しています」

「養成カリキュラム」受講後に検定へ

 それでは、マグロ解体師の資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。

 資格取得には、同協会認定校の「マグロ解体師養成カリキュラム」を受講し、検定試験に合格する必要があります。受験資格は満18歳以上70歳以下の男女。学歴、性別、国籍などの制限はありませんが、日本語のコミュニケーション能力や漢字・ひらがなの読み書き可能なことが条件です(※受講生登録前に書類審査と適性検査あり)。

 まずは、協会公認のマグロ解体師養成アカデミー(東京校)で知識・技能講習を受講。口上マニュアルをもとに発声練習をしたり、マグロ解体マニュアルを使って解体の流れを覚えたりしながら、知識と技能の両方を身につけます。修了試験に合格後、実践型の最終カリキュラム(1〜3日間)を経て仮試験を受験。その後、東京・築地で開催される検定本試験の合格を目指します。標準的な学習期間の目安は3カ月。

 なお、初回の検定試験費用を含む受講料は、未経験者や素人からチャレンジできる「マグロ解体師エキスパートコース(1級)」が32万4000円、マグロ解体職人や寿司職人を対象とした「技能別プロフェッショナルコース(1〜3級)」が3万2400〜10万8000円です。

定義があいまいだった解体ショー

 そもそも、マグロ解体という特殊技能を認定するこのユニークな制度はどのような目的で作られたのでしょうか。

「マグロ解体師を公認する制度を作ることで、食育や魚食の普及、全国各地のマグロブランドの強化・PRに努めるとともに、マグロ資源への正しい理解と適正な生産・流通・消費を促進し、日本の産業と地域活性化に貢献することを目的としています」

 協会設立以前は、定義があいまいだったというマグロ解体ショー。仲買人や鮮魚店などの職人が黙々とマグロをさばき、見せるだけというものが大半で、口上や切り付けの工程、使用する包丁、マグロの品質なども業者によってバラつきがあったといいます。そこで、資格として協会が公認することで、知識・技能レベルの統一を目指したとのこと。

「水産や飲食業界の従事者はもちろん、全く経験のない人たちにも、広く専門知識や技能の使い手になっていただきたいと願い、この検定を実施しています。ぜひ、日本を代表する水産物であるマグロのエキスパートを目指してください」

(オトナンサー編集部)

【別カット】マグロ解体師によるショーの様子

マグロ解体師によるショーの様子

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