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不動産経済研究所の調査によると、首都圏で新築分譲マンションの駐車場設置率が年々低下しているという。どのような状況なのか、マンションの駐車場の種類や特徴に違いはあるか、考えてみよう。【今週の住活トピック】
「首都圏の新築分譲マンション 駐車場設置率の数」を発表/不動産経済研究所

車を持たないライフスタイルの増加などもあり、駐車場設置率は低下し続けている

首都圏のマンションの駐車場設置率は、2007年の77.3%をピークに年々低下し2013年には5割を下回り、2017年上半期(1〜6月)には42.2%にまで落ち込むという。

エリア別に設置率を見ると(画像1参照)、発売戸数が多い都区部(東京23区)で最も低く、2007年のピーク時でも56.0%だったが以降は低下し、2016年は28.9%、2017年上半期は29.5%と3割を切る状態が続いている。

その他のエリアも同じく低下傾向で、2017年上半期に都下ではついに5割を切り、神奈川県では52.9%まで低下した。埼玉県は、2008年の82.6%をピークに2015年の57.2%まで下がり、下げ止まりの状態が続いている。
最も設置率の高い千葉県は、2007年のピーク時には92.0%だったが、2017年上半期は61.9%まで下がった。

【画像1】首都圏マンション エリア別駐車場設置率の推移(出典/不動産経済研究所「首都圏の新築分譲マンション 駐車場設置率の数」より抜粋)

マンションの駐車場設置率が下がっている理由として、どんなことが考えられるだろう?

まず、「若者の車離れ」が指摘されているが、都区部を中心に車を所有しないライフスタイルが広がりつつあることが背景にある。さらに、駅から徒歩圏のマンションの供給比率が増えていることも要因だ。

50代以上の購入者も多いが、シニア層が一戸建てから駅に近いマンションに買い替えるのを機に車を手放したり、新築マンションの価格上昇の影響を受けて、若年世帯が住宅ローンの負担を考えて車を所有しない暮らしを選ぶといったこともあるのだろう。

マンションの駐車場と一口に言っても、いろいろな種類がある?

では、マンションの駐車場について、深堀りしてみよう。
どんな種類があって、それぞれどんな特徴があるのだろうか?

「平置き駐車場」は、いわゆる駐車場のイメージそのままで、マンションの敷地に駐車場の区画割りをして、道路から進入してそのまま駐車できるタイプだ。車種を選ばず、車の出し入れが楽なので、人気のあるタイプだが、多くの敷地を必要とするのが難点だ。

「自走式の立体駐車場」は、複数層の駐車専用建築物に、スロープを上がって自分の駐車スペースまで車で移動するタイプだ。大型マンションなどによく見られ、高層型になっている場合もある。平置きより敷地のスペースを小さくできるが、建築コストがかかる、容積率に加算されるなどの難点がある。

「機械式の立体駐車場」は、昇降機とパレットなどで立体的に構成され、機械的に車を出し入れするタイプだ。敷地の小さなスペースでも多くの車を駐車させることができるので、都区部のマンションなどに多く見られる。出し入れに時間がかかる、車種によって駐車できない、操作事故などで使えないときがあるなどの難点に加えて、機械のメンテナンス費用が高額になるといった維持費の課題もある。

ほかにも、専用庭の横に1台分の駐車スペースを設けた一戸建て感覚に近いタイプもあり、これらの複数のタイプを組み合わせた駐車場があるマンションも多い。

そのマンションにとって適切な駐車場の数があるか?

マンションを買ったのに、「駐車場の数が不足していた」「自分の車種が駐車できるスペースを確保できなかった」といった理由で、料金の高い一般の駐車場を契約することになったり、車そのものを手放すことになったり、というのは避けたいもの。

逆に、「駐車場に空きが多い」ことになると、駐車場費用をマンションの修繕積立金に組み入れて大規模修繕計画を立てていたのに、空きの分だけ修繕積立金が不足するという事態も生じる。新築当時は埋まっていても、マンションの経年に連れて居住者も高齢化し、車を手放す人が増えた結果、空きが増えていくという事例も多い。

適切な駐車場の数は、マンションによっても変わるので、難しい問題だ。マンションデベロッパーも、類似事例などを分析して設置率などを検討しているはずだが、長く住むうちに状況が変わるということもあるだろう。

機械式駐車場を取り壊して平置きに変えたり、駐車場のスペースを駐輪場やバイク置き場に変えたり、といった柔軟な対応ができるかどうかは、管理組合がしっかり活動しているかどうかにかかっている。やはりマンションにとって、管理の良し悪しは、重要な問題だ。


(山本 久美子)