ユベントスの新戦力はいずれも各ポジションの選手層を厚くする【写真:Getty Images】

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リーグ7連覇へ隙なし。戦力バランスは昨季以上だが…

 現地時間8月31日、欧州主要リーグの移籍市場が締切を迎えた。この夏も各チームで様々な移籍があったが、それぞれ主要クラブの動きはどうだったのだろうか。今回はユベントスの補強を読み解く。

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 7連覇に死角なし。そう思わせる夏の移籍市場。やはり絶対王者の補強は的確だった。

 セリエAで圧倒的な強さを見せているユベントスは、今夏の補強も盤石だった。中盤のテコ入れとウィンガーの獲得で、チーム全体のバランスは昨季を上回っている。

 ただ、今夏は大きな問題が発生した。DFレオナルド・ボヌッチのミラン移籍だ。これは選手側の希望があったため仕方ないが、戦力ダウンは避けられない。それでも他クラブが中心選手を引き抜かれたときに比べれば、ダメージは少ないだろう。ユベントスは3バックと4バックのどちらでも選択可能で、4バックにすれば大きな問題にはならない。若手のダニエレ・ルガーニは成長し続けているし、シャルケからベネディクト・ヘベデスを獲得した。センターバックの頭数はそろっている。

 中盤はひとつの課題だった。ミラレム・ピャニッチ、サミ・ケディラ、クラウディオ・マルキージオを軸にするまではいいが、その次が誰になるか中途半端だったのだ。そのため、レギュラークラスを獲得して余剰人員を整理する必要があった。補強は紆余曲折あったものの、最終的にパリ・サンジェルマンからブレーズ・マテュイディを獲得。マリオ・レミナをサウサンプトンへ放出し、若手をレンタルに出すことができた。

 また、強化の余地があると考えられていたウィンガーも今夏の移籍市場で充実させた。バイエルン・ミュンヘンからドグラス・コスタ、フィオレンティーナからフェデリコ・ベルナルデスキが加わり、攻撃のバリエーションが増えている。ゴンサロ・イグアイン、パウロ・ディバラ、マリオ・マンジュキッチというメンバーに強力ウィンガー陣が加わったとなれば、イタリア国内に止められるチームはそうないだろう。

 王者であるユベントスは、当然大きな変化を必要としていない。ボヌッチ放出というアクシデントはあったが、基本はベースを維持しつつ、昨季の課題を解決するための市場だった。まさに「補強」という夏を過ごしたと言えるだろう。

補強・総合力診断

IN
GK ヴォイチェフ・シュチェスニー(アーセナル←ローマ/期限付き移籍期間満了)
DF ベネディクト・ヘベデス(シャルケ/期限付き移籍)
DF マッティア・デ・シリオ(ミラン)
MF ブレーズ・マテュイディ(パリ・サンジェルマン)
MF ロドリゴ・ベンタンクール(ボカ・ジュニオルス)
FW ドグラス・コスタ(バイエルン・ミュンヘン/期限付き移籍)
FW フェデリコ・ベルナルデスキ(フィオレンティーナ)

OUT
GK ネト(バレンシア)
DF レオナルド・ボヌッチ(ミラン)
DF ダニエウ・アウベス(パリ・サンジェルマン)
DF パオロ・デ・チェリエ(未定)
DF ダリオ・デル・ファブロ(カリアリ→ノヴァーラ/期限付き移籍)
DF フィリッポ・ロマーニャ(ブレシア/期限付き移籍期間満了→カリアリ)
MF キングスレイ・コマン(バイエルン・ミュンヘン)
MF マリオ・レミナ(サウサンプトン)
MF ワシム・ブーイ(ズウォレ/期限付き移籍期間満了→リーズ)
MF フランチェスコ・カッサータ(アスコリ/期限付き移籍期間満了→サッスオーロ)
MF トマス・リンコン(トリノ/期限付き移籍)
MF マテウス・ペレイラ(エンポリ→ボルドー/期限付き移籍)
FW シモーネ・ガンツ(エラス・ヴェローナ/期限付き移籍期間満了→ペスカーラ)
FW クリスティアン・パスクアート(サマラ/期限付き移籍期間満了→レギア・ワルシャワ)

補強評価:A

 チームバランスをしっかり考えた補強ができた。放出も含めてうまくチームづくりをしている印象だ。どのポジションをとってもセリエAで最高の陣容ができている。ボヌッチの放出は、同レベルのセンターバックの獲得が現実的ではないため仕方なし。ただ、退団したダニエウ・アウベスの後釜として加入したのがミランで自信を失っていたマッティア・デ・シリオというのは気がかりである。

総合評価:B

 セリエA6連覇中のユベントス。目標はイタリア国内ではなく、チャンピオンズリーグ(CL)制覇だ。イタリア国内ならダントツの総合力だが、欧州を制するのは難しい。イグアインとディバラのコンビにしても、イタリアではケタ外れだが、CLで優勝を争うクラブなら同じか彼ら以上のレベルの選手たちが揃っているのは当たり前のようになっている。

 現時点でユベントスが欧州最高クラスの総合力を身につけるのは不可能というのが現実だろう。リーグの財政規模からいって、セリエAのクラブにはレアル・マドリーやパリ・サンジェルマンのような補強はできない。比較の対象の問題であり、ユベントスはユベントスで良いチームをつくったと見るべきだ。

text by 編集部