飛虎将軍廟の御神体・杉浦茂峰兵曹

写真拡大 (全2枚)

 世界の人々は日本に対しどのような思いを抱いているのだろうか──今号より始まるジャーナリスト・井上和彦氏の世界の親日国を巡るレポートは、私たちの先祖が残した大いなる遺産を感じさせてくれる。第1回は、世界で最も日本と関係の深い台湾である。台湾には日本統治時代の建物がいたるところに残っており、現在も使われている。『台湾人と日本精神』(小学館)の著者・蔡焜燦(さいこんさん)さんなど多くの人々が日本統治時代を高く評価している。

 * * *
 そして蔡さんをはじめ日本統治時代を経験した年配者がいまも高く評価するのが日本時代の教育いわゆる“日本教育”であり、数学などの学問だけでなく、道徳教育、勤勉、遵法精神、時間厳守などが教えられたのだった。

 このことについて蔡焜燦さんはこう話している。

「台湾では、いまでも“日本精神”という言葉が、『勤勉で正直で約束を守る』という誉め言葉として使われておりますが、それはまさしく日本統治時代の教育の成果です」

 台湾領有後、日本政府はただちに文部省の伊沢修二と7人の優秀な教師を送り込み、士林の芝山巌に学堂を開設し、台湾人への教育に取り組んだ。ところが6人の日本人教師が暴徒に襲われて惨殺されてしまう。後に殉職教師らは「六氏先生」と呼ばれこの地に芝山巌神社も建てられた。現在の芝山公園には、六氏先生の墓標と伊藤博文の揮毫による「学務官僚遭難之碑」が建立されているので是非とも訪れていただきたい。

 その他、台湾には、日本軍人や日本人警察官、さらには日本の軍艦などが神様として祀られる御堂や廟がいくつもある。

 台南の「飛虎将軍廟」は、1944年10月の台湾沖航空戦で壮烈な戦死を遂げた日本海軍の戦闘機パイロット・杉浦茂峰兵曹長が祭神「飛虎将軍」として祀られている。この廟では、日本国国歌『君が代』や軍歌『海ゆかば』が歌われるのだ。

 そして高雄の紅毛港保安堂は日本の軍艦が祀られており、国旗掲揚台には軍艦旗が掲げられ、提灯にもこれでもかというほど軍艦旗が描かれているから仰天だ。

 台湾には神社もそのまま残されている。

 桃園市の桃園忠烈祠は、かつての桃園神社であり建物は当時のまま残されているので一見の価値がある。

 それどころか、2015年には台東に鹿野神社が当時と同じ場所に再建された他、屏東のパイワン族の村にも神社が再建されている。

 また花蓮には特攻隊員が最後の夜を過ごしたという松園別館の旧兵事部の建物や防空壕などがきれいに整備されて公開されているほか、台北駅の隣にあるかつての鉄道部の建物は目下、修復中で近く鉄道博物館としてオープンする予定だ。

 台湾人の友人によると、台湾では近年日本統治時代の建物を次々と復元して保存する動きがあるという。こうしたことは、まさに台湾人の親日度を示すバロメータでもある。

 世界一の親日国家・台湾他のいかなる国よりも思いがけない出会いと感動の多い国だろう。カメラで写すことのできないその感動を、どうぞ心のフィルムに焼き付けていただきたい。

 台湾は“心”で旅する国なのだ。

【PROFILE】井上和彦(いのうえ・かずひこ)/1963年生まれ。法政大学社会学部卒。軍事・安全保障・国際政治問題を中心に執筆活動を行う。著書に『大東亜戦争秘録 日本軍はこんなに強かった!』(双葉社)、『撃墜王は生きている!』(小学館文庫)など。

※SAPIO2017年10月号