プロボクサー転身への想いを熱く語ったリオ。現役時代よりさらに精悍な顔つきに。(C)Getty Images

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 元イングランド代表のレジェンドを突き動かしたのは、魂を揺さぶる、真剣勝負への強い渇望だった。
 
 2015年に現役を退いたリオ・ファーディナンドは9月19日、ロンドン市内での記者会見に登壇。事前にプレスリリースしていた通り、プロボクサーへの転身を発表した。
 
 現在38歳。なぜそのような決断に至ったのか。
 
「もう一度、コンペティティブな(競争力のある)世界に戻るチャンスだと思った。これを逃す手はないとね。見世物になるつもりはないし、当然、ボクシング界にとって失礼にあたるような振る舞いは絶対にしない。見ていてくれ、俺は真剣なんだ」
 
 今回のプロ挑戦は、英国最大手のオンラインベッティング『betfair』の支援の下で実現した。とはいえ、すぐさまリングに上がれるわけではない。英国ボクシング協会が管轄するプロライセンスをまずは取得しなければならない。
 
「もう何年も、ボクシングが持つ友愛の精神に感銘を受け、魅了されてきた。ワールドチャンピオンになろうなんて思ってない。越えなければいけないハードルはあるけど、臆さず挑んでいくよ。フットボールの世界でそうだったように、どんな困難もかならずや乗り越えて見せる」
 
 かつてリオのようにフットボーラーからボクサーに転身し、ライトウェルター級の英国チャンピオンに上り詰めたのが、カーティス・ウッドハウス氏。彼は今回のニュースを聞き、自身のツイッターで「冗談は抜きにして、ボクシングは下手をすれば死に至るということを、君は肝に銘じなければいけない」と、メッセージを送っていた。リオはもちろん承知しているとし、こう答えた。
 
「毎晩のように考えたよ。ダウンをするとはどういう事態なのか、どれくらいの衝撃が加わるのか。少しずつ自分の中で受け入れて、決断したことだ。いまは戦いに飛び込みたい気持ちが強くあって、いいやつ(パンチ)をお見舞いしたいと思ってる」
 
 リオは2015年に愛妻をガンで亡くした。3人の娘をひとりで育てる子煩悩なパパは、「彼女たちには、『お願いだからノックダウンされないでね』と言われたよ(笑)。そうならないよう、できることをすべてやり切るつもりだ。つねにボクシングに敬意を払いながらね」と語る。
 
 階級は、ライトヘビー級とヘビー級の間にあるクルーザー級と見られる。トレーニングは現時点で3か月に及んでおり、元WBCスーパーミドル級王者、リッチー・ウッドホール氏に師事している。「最初はとんでもない話だと思ったよ。聞けばチャンレンジするヤツは元フットボーラーで、もう30代後半だって言うじゃないか」と、名コーチは引き受けた際の心境を明かし、こう続けた。
 
「ただ、それがリオだと聞いて、気持ちが変わった。ずっと前から彼の生き様に共感していたし、尊敬していた。プロとしてのストイックな体調管理についてもね。クラスはクルーザー級になるだろう。そうなれば彼の上背とリーチの長さは図抜けているし、大きな武器になる」
 
 バックアップする『betfair』は、今回のリオの挑戦に「DEFENDER to CONTENDER」というキャッチフレーズを付けた。守備者から、競争者へ──。どこまでもタフな闘将の、新たなチャプターが始まる。