子供名義で預金を貯めても相続でバレる可能性が高い理由を元国税調査官に聞いてみた

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終活を進めていく場合、大きな問題となるのが相続税ではないだろうか。状況によっては、相続税でも税務署による税務調査が実施され、国税調査官が派遣される。税務調査において問題ありとして最も多く指摘されるのは、名義預金であるという。「教えて!goo」では「名義預金とみなされた場合その後の通帳について」と題して質問が寄せられている。

■相続税が課税されるのは理解できるが、差し押さえられてしまうのか。

質問者は、自分の祖母が生前に質問者名義で作っていた預金口座が名義預金と見做された場合、相続税が課税されるのは理解できるが、通帳はどのような扱いになるか聞いている。早速その質問に対する回答をみてみよう。

「税務署はその後の通帳の扱いについて、関与しません。その通帳をどうするかは、相続人(と、質問者さん)が話し合いで決めることになります」(gookaiinさん)

「すでに亡くなっているか、亡くなった場合の仮定をお話しされているのかがわかりませんが、…(中略)仰るケースの場合法定相続人は2人ですので祖母の資産総額で4200万を超える場合には申告の必要があります。…(中略)ところが通帳と印鑑は祖母が管理されているので受け取ってない状態ですよね?残高がいくらあるかもご存じなのでしょうか?受け取るなら年間110万以内なら問題ありません」(rrr202020さん)

名義預金が相続税の対象となることは間違いないが、名義預金の通帳については差し押さえられることはないという回答であった。

■相続税の課税対象どころか、税務調査の標的である。

さて、ここからは相続税に詳しい元国税局国税調査官の松嶋洋税理士にお話を伺ってみた。最初に名義預金とは何かからだ。

「相続税の税務調査において、国税当局から問題にされるものの最多が名義預金です。本当は故人の生前の預金であるにもかかわらず、子供名義にして相続財産から除く、という相続税対策がよく見られますが、国税は名義に関係なく、実質的に故人の預金と言えるのかを問題にし、故人のものと認定できるのであれば、故人の名義預金として相続税を課税することになります」

相続税を逃れのための名義預金を防ぐため、税務調査を実行することが多いということは、確かに筆者も聞いたことがあった。だが、どこまでが名義預金として判断されるのだろうか。

「名義預金については、例えば以下のような基準を総合的に見ることによって判断されることになります。
1 名義預金の原資であるお金を誰が出したか(『原資の出捐』といいます)
2 名義預金を誰が管理し、運用しているか
3 名義預金から生ずる利益(利子など)について、誰が収入しているか
4 被相続人と名義預金の名義人などとの関係
5 名義預金の名義人がその名義を有することになった経緯等
このうち、往々にして国税調査官が問題にするのは、1と2の基準です」

名義預金と見做される口座について、誰がお金を入金したか、その口座の通帳や印鑑、キャッシュカードを管理していたのは誰なのかが重要なのだ。その誰かが生前の故人であった場合、その口座は名義預金とされ、相続財産として相続税が課税される。

「税務調査の場合、名義預金に預け入れられたお金がどこから来たのか、ヒアリングなどを通じて検討されます。とりわけ、そのお金が故人から来ているかどうかが問題になりますから、故人のその他の口座などの状況を見て、名義預金に預け入れがなされたタイミングで、その他の口座から同額又は近似したお金の出金がないか詳細に検討されます。加えて、名義預金の名義人が専業主婦である妻や無職の子供である場合、名義預金の原資であるお金をこれらの親族はもっていないことが通例ですから、親族の収入状況などについても検討されます」

税務調査の場合、相続人だけではなく親戚であっても根掘り葉掘り聞かれてしまうこともある。調査内容は深く徹底的だ。相続人達の銀行口座や勤務先と言った個人情報も調査の対象となることもある。

「相続税対策の名義預金の場合、その預金の通帳は名義人ではなく、被相続人が自分で管理していることが通例です。このため、預金通帳を誰が持っていたか、預金を引き出すにあたり必要になる銀行印を誰が管理していたのかなど、名義預金の管理運営状況のチェックがなされます」

名義預金の場合、実質的な管理運営状況によって判断され、管理運営者が生前の故人であれば相続財産となり、相続税が課税されるということだ。度を越した相続税対策は脱税と見做されてしまう場合もあるのは事実だ。脱税か否かを判断するのは、国税調査官であり、故人や相続人ではないことに注意すべきであろう。

●専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。税務調査で望ましい結果を得るための法律論・交渉術に関する無料メルマガを提供中

ライター 与太郎

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)