先日、夫と一緒に日本の音楽番組を観ていた。とあるシンガーソングライターが出た時に作詞作曲編曲全てそのシンガーがこなしているのを見て「自分で全部やってるんだ〜すごいね〜」と私が言うと夫は「別に…」と少し引いていた。資料写真。

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先日、夫と一緒に日本の音楽番組を観ていた。とあるシンガーソングライターが出た時に作詞、作曲、編曲の全てをそのシンガー自身がこなしているのを見て「自分で全部やってるんだ〜すごいね〜」と私が言うと、夫は「別に…」と少し引いていた。私の頭の中は完全に「?」状態だった。今回は中国人夫がなぜそんな反応をしたのかについて書いていきたいと思う。

夫いわく中国では作詞・作曲・編曲は基本的に別の人が行う。それはそれぞれが作詞や作曲しか出来ないのではなく、あえてしないのだと言う。それはなぜかと言うと「仕事を独り占めせずに他の人と分け合ってみんなでお金を稼げるようにするため」だそうだ。理由がなんとも中国らしい。

日本では仕事にプライベートを持ち込んではいけないという考え方がある。例えば俳優が自分の出演するドラマに友達を呼んで「友達だから」という理由でドラマに出させてあげたり、歌手が友達だからという理由でコンサートに呼んであげて、友人をステージに上げることなどは、あまり良いこととしては捉えられない(歌手の友人を呼んで一緒にパフォーマンスすることはあるかも知れない)。

しかし、中国人は仕事にプライベートをどんどん持ち込むらしい。特に歌手は作詞を友人に任せたり、自分が作った曲を友達に歌わせてあげたり、「友達だから」という理由でどんどんビジネスをする。しかもそれを堂々と公言する。さらにそれは人々に快く受け入れられるのだ。私は「友達にお金を稼がせてあげるのは良いことでは?」という中国人らしい考え方がそこに潜んでいるような気がする。

私も以前、中国人の大物歌手が自分のおばあちゃんをコンサートのステージに上げている映像を見たことがある。おばあちゃんはなんて事のない、普通の格好をした普通のおばあちゃんだった。もちろん歌も歌えないし特に面白いことも言っていなかった。しかし会場は大盛り上がりだった。夫いわく家族を大切にしているのはかなりポイントが高い。しかも、それでおばあちゃんに「コンサートの出演料」という形でお金もあげることができる、と夫は絶賛していた。

日本も歌手が友達同士で曲を共同制作することはあると思うが、それが全面的に押し出されることはない。むしろ一人で作詞作曲をこなしている歌手は才能があると見なされてプラスポイントになると思う。

もちろん中国にも自分で全てこなす歌手はいるが、その一方で「あえてする友達との分担作業」が絶賛される一面もある。確かに仕事を分担すれば、それぞれがお金を稼ぐことができるが、日本ではメディアに出ている人同士がそのような考えを前面に出すことはあまりないので、中国人夫の説明に「なるほど」と思った次第である。

■筆者プロフィール:むらさわりこ
1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。