天然でこの凄み、もうお見事!

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“性格俳優”とよばれる人々は、顔の美しさ云々を抜きに助演の重要なキャラクターになり切る上手さ、味わい深い演技力を持っている。その中に、時折「一度見たら怖くて絶対に忘れられない顔」と言わせる俳優がいるものだ。大胆不敵で冷淡な雰囲気を醸すマッツ・ミケルセンやスティーヴ・ブシェミも怖いが、幼い子が「モンスターみたい」と言って怖がるとすれば、プエルトリコ出身のベニチオ・デル・トロ、ローレンス・フィッシュバーンあたりか。日本のヤクザ映画が抱えている俳優のコマに比べたらハリウッドの強面俳優はなかなか少なく、スティーヴン・セガールに至ってはヒーローである。実はそうした恐怖オーラを放つ強烈な個性派俳優を常にハリウッドは探している。意外なところに逸材と思しき男性がいるのだが…。

ニューヨークが幕を下ろし、続いては英ロンドンに移ったご存じ「ファッションウィーク」。15日には「The Store Studios」を会場にスージー・スーやレディー・ガガがそのパンクなキャットスーツを愛用しているという女性デザイナー、パム・ホッグ(Pam Hogg)がショーを開催した。あちこちにロンドンを拠点とするミュージシャンたちの姿があったそのショー。「ブロンディ」で知られるデボラ・ハリーとはパンクを愛する者同士、数十年にわたる友人で、彼女とともにロンドンのパンクスタイルを確立してきたホッグらしい光景である。

そのショーの最前列で目立っていたのが、黒いスーツに真っ赤なシャツを合わせていたロックミュージシャンのニック・ケイヴ。今月22日の誕生日で60歳だそうだ。「ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ」のリーダーで“Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー”に選ばれている。隣に座っているのは友人のミュージシャン、ボビー・ギレスピーである。

ニックは映画界においてサウンドトラックへの楽曲提供はもちろんだが、作家、脚本家、画家、そして少しばかり俳優としても活動している。妻スージー・ビックさんとの間には2000年にアールさんとアーサーさんという双子が生まれ、2014年には家族そろってニックのドキュメンタリー映画『20,000 Days on Earth(原題)』に出演していた。しかしアーサーさんは2015年7月14日、イースト・サセックス州の崖から18メートル下に転落して死亡。自殺かどうかは明らかにされていない。

印象深いのは2016年の自身の音楽ドキュメンタリー映画『One More Time With Feeling(原題)』だが、ここでニックは悲しみをこらえながら、亡き息子アーサーさんへの悲痛な思いを語っていた。強面の男性こそハートは優しく脆いもの。ニックはその不幸な出来事以降あまり笑顔を見せていない。しかし今年17歳の息子アール・ケイヴさんはTVドラマの俳優として活動しており、なかなかのイケメンでもある。父ニックも悲しみから立ち直り、心機一転という時が訪れたら、是非とも強面俳優としても活躍することを検討してみて頂きたいものだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)