撮影:稲澤 朝博

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玉山×佐々木が「セックス依存症」題材のドラマに惹かれた理由

「高校教師」「未成年」「人間失格〜たとえばぼくが死んだら」などの名作で知られる脚本家・野島伸司の新作のHuluオリジナル連続ドラマ「雨が降ると君は優しい」が配信開始前から大きな話題を集めている。

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何しろ、この作品で野島が斬り込んだ題材は“セックス依存症(=性嗜好障害)”。

しかも、妻が不特定多数の男性と肉体関係を持ってしまう心の病という衝撃の事実を知り、苦悩する夫の立木信夫に玉山鉄二が演じその心の病を抱えたヒロインの主婦・立木彩に佐々木希が挑んでいるのだから、ただ事ではない。

いったいこれはどんなドラマなのか? 玉山と佐々木はなぜこのセンセーショナルなドラマへの出演を決めたのか? ふたりを直撃して、その真相に迫った。

数多くの衝撃作を産み落とした、野島伸司が新たな「究極の愛」を描く

「雨が降ると君は優しい」は、尾野真千子主演のサイコサスペンス「フジコ」(15)、AKB48の渡辺麻友とHKT48の宮脇咲良がW主演したホラーサスペンス「CROW’S BLOOD」(16)、小栗旬主演のクライムサスペンス「代償」(16)といった、地上波では放送することのできない刺激的なドラマで視聴者を圧倒してきたHuluが、脚本家のレジェンド・野島伸司の書き下ろしオリジナルシナリオを全8話で完全ドラマ化する野心作。

何しろ、野島が今回「本当に描きたいドラマ」として3年もの歳月をかけて産み落とした本作は、地上波では描くことが難しい“セックス依存症”…正式には“性嗜好性障害”という病気に侵されたヒロインをめぐる、生々しく狂おしい究極のラブ・ストーリーなのだ。

そして、そんなセンセーショナルな問題作に果敢に挑んだのが、玉山鉄二と佐々木希。ビッグネームの彼らがリスクも伴う本作への出演を決めたことが、逆に本作の面白さを裏づけているような気もする。

そこで、ふたりにオファーを受けたときの率直な印象から聞いてみた。

演じながら“精神的に辛い領域”に追い込まれたときはありましたか?

玉山「僕はこれまで企業モノや社会性が強い作品に出演させていただくことが多くて、こういう純愛モノはあまり経験してこなかったんです。

それに、僕は台本やキャラクターが面白いのか、自分が参加したいと思うのかどうかといったところで出演を決めさせていただいているので、今回のような地上波ではなかなかできない役をいただけて、本当に感謝しています」

佐々木「私は台本を読む前の方が、題材の難しさもありお受けすることを迷っていたかもしれません」

佐々木「ですが台本を通じてですが、当事者の葛藤を知り、病気のことや彩の苦悩を理解したいと思ったんです。

それに台本が本当に面白くて、続きを早く読みたいと思いましたし、『信ちゃんと別れるぐらいだったら死んだ方がいい』と言いそうなほどピュアな彩がだんだん愛おしくなってきたんです。

それで、事務所のスタッフから『お受けするかしないか自分で考えて決めていい』と言っていただいて、やり甲斐が感じられるような気がしたので、決意をして『挑戦させてください』と言ったことを覚えています」

玉山「よくオファーを受けたなって思う。

日本の俳優は特に、その役をやる前とやった後の変化を怖がる人が多いから、すごく勇気がいったんじゃないかな」

佐々木「演じている私も勝手に涙が出てくることがあった」

佐々木「私自身がこの夫婦のこの先が気になる、と思ったことも大きいですね(笑)」

玉山「ただ、プロデューサーの方々はその意外とも思えるキャスティングにある程度の勝算があって話を振ってきているわけだから、結局は本人がその役と向き合えるかどうかの問題。

僕もある種の怖さも味わいながら、自分が歯車になることで作品が少しでもよくなればいいな、という想いでやっているし、観てくださる方にいい意味で驚きを与えられればいいなと思っています」

とは言うもの、なかなかデリケートな問題に踏み込んでいるし、演じながら精神的に辛い領域に追い込まれたときもあったに違いない。

何しろ、眩しく晴れた日になると抗えない衝動を覚える彩は、赤いドレスに身を包み、不特定多数の男性と肉体関係を持ってしまうのだから。

佐々木「衝動に駆られているときの彩は挙動不審と言うか、ひとつの感情が続かないんです。

カウンセリングの1シーンの中だけでも、急に泣いたと思ったら怒ったり笑ったり、揺れ動く感情の幅が大きくて。

演じている私も勝手に涙が出てくることがあったし、自分が思ってもいなかった行動に出ることもありました。それぐらい毎日感じることが違ったから、明日はこういうふうにしようというプランも立てられなくて。

それこそ彩になっていっているのかもしれないと思って、自分でも少し怖かったです(笑)」

一方、玉山が演じた信夫は、妻の彩を心から愛し、大切に思っている。どんな過酷な状況に追い込まれても笑顔を絶やさず、どんな残酷な事実を突きつけられても、妻に対する愛が揺るがない誠実な男性だ。

玉山「日本の男性には理解しがたい恋愛観が描かれた台本だったし、僕にも見えない部分がたくさんあったので、野島さんと食事をさせていただいたときに、野島さんが話す一語一句を聞き逃さないようにしていたんです。

でも、実際に信夫を体感してからじゃないと見えないこともたくさんあるんだなと気付いたので、現場では信夫でいることに集中し、彩の顔を見て思ったこと、感じたことを素直に出していくようにしました。

実際、彩が僕に注いでくれる愛情がすごく心地よかったり、希ちゃんの表情にほっこりすることもあったので、彼女に引き出されているところもたくさんあるし、彼女の表情を見たり、彼女の声を聞いて、自分から何が出てくるのかを僕自身、楽しみながら演じているところがありましたね」

佐々木「でも、それだけに、彩が不特定多数の男性と肉体関係を持っていることを知ったときの信ちゃんの衝撃や悲しみ、葛藤を思ったときは切なくなりました。

しかも、彩本人の口からその事実を聞かされるのですからね。大人なら普通は隠すのが優しさだと思うけど、彼女は隠して嘘をついている自分が辛いから言ってしまう。

それで自分だけすっきりしているところが、ちょっと子供っぽいと思いました」

玉山「3話目ぐらいから笑顔の下に隠れた“信夫のある過去”が明らかになって…僕はそこにすごく共感できました」

玉山「でも、それはほんの序章でしかなくて。その先のドラマはそんなものじゃない」

佐々木「すごいことになっちゃっています(笑)」

玉山「3話目ぐらいから笑顔の下に隠れた“信夫のある過去”が明らかになって、物事を先送りにしていたり、自分の気持ちを押し殺すことでその場をうまく保とうとする彼の思考が分かってくる。

僕はそこにすごく共感できました。

誰だって子供のときに、自分がワガママを言わなければお父さんとお母さんは喧嘩しないということに気づいて、我慢したことがあると思うけれど、僕もその記憶がちょっとだけ残っていて。

信夫の場合はその感覚がもっと強いから、自分にも周りに期待しなくなっていったと思うんです」

いったい、この夫婦の未来にはどんな試練と結末が待ち受けているというのだろうか?

玉山「彩がその病気になったことで、この夫婦はもがき苦しむわけです。

でも、それを俯瞰すると、この夫婦は自分たちで見えない敵を作って振り回されているだけで、ふたりの愛情は何も変わらないような気もする。

それこそ、これは僕の感覚ですけど、もしかしたら彩の“性嗜好障害”さえもいとわないぐらいふたりの愛情は深いのかもしれない。

そういう野島さんの文学も入っています。シンプルに言うと、そういうことだと思いますね」

佐々木「けっこう攻めてますよね」

佐々木「私は第2話の『ふたりはきっと、ここからの地獄を覚悟したのね』というナレーションが大好きなんですけど、けっこう攻めてますよね」

玉山「地上波だともっと保守的になるよね」

佐々木「そうですよね今回の現場は本当に行けるところまで行くし、攻めてる。私もしっかり頑張らないといけないなと思いました」

それにしても、久しぶりに降臨する新たな野島伸司ワールドが若者を中心とした昨今のテレビ離れの状況にどんな喝を入れるのか楽しみだ。

佐々木「衝撃が走って欲しいですね」

玉山「往年の野島さんの作品は子供が観てはいけないものを観る感覚や、身近な大人が教えてくれないものを教えてくれるようなところがあったけれど、いまの若い人たちはそもそもドラマにそれを求めていないような気がします。

でも、結局、積み重ねだと思うんです。この作品のようなオンデマンドのオリジナル作品が黒船のようにどんどん出てきて、映画や地上波も含めたエンタテインメント業界に傷跡を残すことができれば、また状況が変わるかもしれません。

僕たちもそこに期待しています」

そういった意味では、エポックメイキング的な使命も担っている「雨が降ると君は優しい」。

この美しくも狂おしい大胆なクリエイティビティが、どんな未来を切り開くのか!?

まずはその勇気ある挑戦を、自身のふたつの瞳で目撃するところから始めてみようではないか。

Huluオリジナルドラマ「雨が降ると君は優しい」

配信日:9月16日(土) 1話・2話 配信
9月23日(土) 3話・4話 配信
9月30日(土) 5話・6話 配信
10月7日(土) 7話・最終話 配信
出演:玉山鉄二、佐々木希 ほか / 脚本:野島伸司