韓国政府が発表した対北朝鮮支援策を巡り、文在寅政権の内部で異論が噴出している。

韓国メディアによると、宋永武国防相は18日の国会国防委員会全体会議で、統一省が14日に発表した国連の北朝鮮母子健康プロジェクトへの支援案について「時期を非常に遅らせると聞いた」と述べた。

安倍首相が注文

国連世界食糧計画(WFP)と国連児童基金(UNICEF)は、北朝鮮の乳幼児、妊婦など脆弱階層に対する栄養支援事業を行っているが、核実験とミサイル発射実験を続ける北朝鮮に対する反発が強まったことで資金不足に陥り、中断を余儀なくされていた。

統一省は、これに対して800万ドル(約8億9000万円)を支援すると明らかにした。

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今回の支援案については、いかなる状況においても対話の意思を持ち続けるとのメッセージを北朝鮮に送るものとして肯定的に受け止める見方がある一方で、国際社会の北朝鮮包囲網の足並みを乱すとして、韓国国内はもちろん、国外からも批判の声が上がっていた。

15日に行われた日韓首脳の電話会談で、日本の安倍晋三首相は「対北朝鮮支援の時期を考慮してほしい」と述べ、支援の時期について注文を付けた。

これに対して文大統領は、「北朝鮮の脅威に過度に対応することで緊張が激化する、偶発的な衝突につながることのないよう、状況を安定的に管理しよう」と伝え、圧力一辺倒の安倍首相の姿勢に釘を差し、日韓首脳の姿勢の違いが改めて鮮明となった。

宋国防相の発言に対して、統一省のペク・テヒョン報道官は19日、「対北朝鮮人道支援は政治的状況とは関係なく推進するのが政府の基本的立場で、制裁、圧迫とは別のもの」と述べ、発言を事実上否定した。

政治家としての経験がなく、海軍参謀総長を経て国防相となった宋永武氏は、政権の方針から外れた発言を繰り返しており、閣内不一致との批判がさらに高まるものと思われる。