中国進出強化のアマゾン、現地採用で「越境コマース」開拓へ

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アマゾンは長年、中国市場への参入に苦戦している。現地の競合との戦いに苦しむアマゾンは市場の1%以下しか獲得できていないのが実情だ。

しかし、グーグルやツイッター、ウーバーらが中国から撤退した一方で、アマゾンは再度、中国への注力を深めようとしている。

アマゾンは中国の深センでアレクサ関連のエンジニアやAWSの技術者の募集を開始し、オリジナル動画番組のプロデューサーの求人を開始した。この動きは昨年、アマゾンが中国でアマゾンプライムプログラムを始動したのに続く流れだ。アマゾンプライムの中国版では、年間約60ドルの会費を支払えば約30ドル以上の買い物は無料の国際発送の対象となる。

アマゾンが当面、中国で狙うのは国境をまたいだEコマースの分野で、これは中国市場において今後成長が見込める分野だ。中国の消費者は海外の”本物”を求めており、海外の衣料ブランドや中国では買えない信頼性の高い食品を、アマゾンはプライム経由で提供することが可能になる。

調査企業Analysys Internationalによると、急成長を続ける中国のクロスボーダーEコマース市場において、アマゾンは直近の四半期で7.6%のシェアを獲得したという。同社のアナリストのChen Taoは、アマゾンは国際的な物流ネットワークから今後、さらなる利益を生み出し、米国や日本、英国等の諸国からの買い物を顧客に提供できると述べる。

アマゾンが中国で新たに採用するスタッフの多くは、Eコマース部門に割り当てられる。一方で「動画等のコンテンツ部門のスタッフは、動画を通じて海外のライフスタイルを訴求するコンテンツ創出にあたり、それにより新たなEコマース需要を生み出す役割を担うことになる」と、北京のコンサルティング企業Marbridge ConsultingのMark Natkinは語る。

アマゾンはこのやり方でアリババから顧客を奪う考えだ。アリババは動画ストリーミングを買い物に結びつけ、今年6月末までの四半期において売上を56%押し上げ、75億ドルにまで上昇させた。対するアマゾンのアプリは現状ではシンプルすぎて、デザインも悪く中国のミレニアル世代の需要を捉えられていない。

アレクサの中国対応が必須

「アマゾンは中国消費者に向けたライフスタイルコンテンツの拡充を狙い、それにより海外の食品や飲料の売上増を見込んでいる」とNatkinは述べた。

一方でアマゾンには別のチャンスもある。アマゾンが中国で採用するプログラマやエンジニアの数から考えて、彼らが今後、人工知能(AI)を用いたサービスの立ち上げを企んでいることも考えられると、上海のKantar RetailのアナリストのJane Xuは言う。

アマゾンは米国でロボット化された倉庫やドローン宅配、無人コンビニのアマゾンGOストアの取り組みも始動している。中国でもロボット宅配や無人コンビニの実験は進んでおり、アマゾンが持つノウハウは中国でも適用可能かもしれない。

「アマゾンは物流やショッピング分野のスマート化において、一歩先を行っているとの考えがある。中国で物を売るだけでなく、より先進的なEコマースサービスの投入をアマゾンは狙っている」とXuは分析する。

ただし、アリババやJD.comらも海外製品を中国消費者らに届け、2社ともにAI領域への投資を活発化させている。クロスボーダー取引の点でもアマゾンは現地企業の後塵を拝している。

さらに、アマゾンの音声アシスタントのアレクサは現地の競合らと戦うためにはまだ改善が必要だ。この分野ではバイドゥのDuerOSやテンセントのXiaoweiアシスタントがアマゾンの先を行っている。米国の消費者らはアレクサを用いて音楽を再生したりオンラインショッピングを行っているが、中国の消費者が求めるタスク(例えば、米の調理など)には対応しておらず、中国のライフスタイルに適応しているとは言い難い。

Kantar RetailのXuは「アマゾンは中国市場参入に向けて、まだ大きな課題を抱えている。彼らは中国に特化したAIサービスを立ち上げる必要がある」と述べた。