第65味 インド
ついに導入された新租税「GST」。インド経済への影響は

GSTの導入によりビジネスチャンスの期待が高まっている

今年7月1日にインドでGST(物品サービス税)が導入されました。GSTについてはモディ政権の経済改革のカギを握る政策とされ、これまでにも当連載で、述べてきました。2006年度の予算案に盛り込まれて以来、11 年の歳月を経てようやく導入にこぎ着けた格好です。

GST導入に係る法案は、昨年8月に議会を通過し、今年5月に大まかな税率が決定されました。

GSTを一言でまとめると、「税制の一本化」です。インドではこれまで物品税やサービス税、付加価値税といった間接税を中央政府や州政府がそれぞれ独自に課していました。そのため、州ごとに税制や税率が異なる事態となり、州をまたいでビジネスを行なう場合に手続きが煩雑になるなど、インド経済を非効率にさせてきました。

商品配送のトラックが州を越えるたびに、手続きのために長蛇の列を成すというのは有名な話です。また、複雑な税制であるがゆえに納税が滞るなど、税収面での悪影響も指摘されてきました。

さて、インドのSENSEX指数を見ると、2016年の初めあたりから右肩上がりで上昇し続けており、GSTが導入された2017年7月になっても、過去最高値を更新しています。

豊富な労働人口や市場規模など、もともとインドが持っているポテンシャルに加え、GSTの導入によって、インド経済の効率化、さらなる成長の原動力となるビジネスチャンスの増加、税収アップなどへの期待が高まっていることがうかがえます。

中期的にインドのGDP(国内総生産)成長率を1〜2%ほど押し上げるとの見方もあるようです。

インドといえば、昨年 11 月に「高額紙幣の廃止」を突如発表して国内に混乱を来したことがまだ記憶に新しいですが、今回のGST導入については、大きな混乱はそれほどなかったようです。ただし、項目によっては税率が細かく分かれたこと、適用除外対象品などで妥協があったこと、これまでの課税権を失う州政府の抵抗もあって税制手続きの面で十分な簡素化には至っていないなど、まだ課題は残されています。

とはいえ、悲願だったGSTの導入は、インド経済の構造を大きく変える改革なので、表れる効果を見極めつつ、今後もインドの政策には注視していく必要がありそうです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト  土信田雅之

新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券隨一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。