長瀬智也は、表情で語る天才だ! 『ごめん、愛してる』性格が真逆の律役をどう演じた?

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 TOKIO長瀬智也が挑戦した20年ぶりのラブストーリー、韓国で社会現象にまでなった大人気ドラマのリメイク、脇を固めるのは吉岡里帆・坂口健太郎・大竹しのぶという実力派俳優……。様々な要素が重なり合い、話題となっていたドラマ『ごめん、愛してる』(TBS系)が、9月18日に最終回を迎えた。

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 これまで感じていた疑問が次々と明かされたり、長瀬智也演じる岡崎律のあまりにも切ない最期が描かれていたりと、何かと衝撃的なラスト。まず、かねてより話題になっていた日向サトル(坂口健太郎)の父親について。律とサトルの母・日向麗子(大竹しのぶ)のかつての不倫相手である黒川龍臣(山路和弘)ではないかという声が挙がっていたが、実はサトルも律と同じく施設出身だったのだ。

 さらに、律を施設の前に捨てたのは麗子のキャリアを守ろうとしたマネージャー・三田恒夫(中村梅雀)。麗子には死産だったと伝えていたため、子どもが生きていると麗子は本当に知らなかったのである。そして、律の最期。麗子が自分を捨てたわけでもなく、本当に死産だったと思い込んでると知りつつも、「自分が息子です」という言葉を必至で抑え込んでいた律。麗子の手料理を食べて感情が抑えきれなくなると、姿を消してしまう。その後は、これまで撮りためてきた日記代わりの自撮り動画、凛華のスマホにあった自分の画像を消す。自分が死んだ後に辛い思いをする人がいないよう、自分の生きた形跡を消して一人海に向かった。そこから凛華に「ごめん、愛してる」と電話をかけ、最期を迎える……という内容だった。

 大竹しのぶの圧倒的な演技力に気圧されつつも、やはり注目したいのは主演・長瀬の演技だ。『ごめん、愛してる』で長瀬が演じた律のキャラクターを振り返ってみよう。律は、幼いころ母親に捨てられて不遇な環境で育ってきた男。韓国の裏社会に属していた頃のトラブルにより、脳に銃弾が埋め込まれているため余命は僅か。血気盛んで気性は荒いが、根本的に温かい性格ゆえにその不遇に瞳を曇らせて闇を抱えているような人物だ。

 こう見ると、律は我々が普段目にしている「長瀬智也」と大きなギャップがある。TOKIO長瀬は「ガハハ」と豪快に笑い、裏表が感じられないあっけらかんとしたタイプ。一方、律は名前のごとく自分を律してしまうタイプ。「自分よりも誰かのために」、そんな気持ちが強いからかサトルのために心臓を差し出そうとしていたり、自分の死を悟って凜華を突き放したりするシーンが見られた。実際長瀬は公式サイトで、「“もし同じ状況だったら?”って考えたりしますけど、そんなの無理無理…!って」とコメントしており、自分とは違うタイプの人物と考えているようだ。

 それぞれのキャラクターにギャップがあることを考えると、長瀬は役に寄せてしっかり演技をしていることが分かる。律は饒舌に話すタイプではないため、沈黙が流れるシーンも少なくない。しかし、表情や間だけで律の心情を表すことができるのは、長瀬の演技力あってこそだ。たとえば、麗子の手料理を食べるシーン。母親という存在を一気に感じたからか、思わず「自分が息子です」と言い出すような表情を見せるも、グッと言葉を飲み込んで家を出ていってしまう。その間、言ったセリフは「すんません」のみ。にも関わらず、今、律がどんな気持ちで何を言おうとしているのかが伝わってくる。長瀬は、表情で語る天才なのかもしれない。

 映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』では、無駄に熱い地獄の赤鬼・キラーK、ドラマ『フラジャイル』(フジテレビ系)では強烈な変人病理医・岸京一郎など、近年長瀬は凄まじく個性的なキャラクターを演じることが多かった。『ごめん、愛してる』の律と比べると、その振り幅の広さに驚く。10代の頃から長年積み重ねてきた演技経験の賜物だ。今もなお錆びつかない演技力を『ごめん、愛してる』でまざまざと見せつけてくれた長瀬。来年には、池井戸潤原作の映画『空飛ぶタイヤ』の公開も控えている。今度は、家族や社員のために巨大企業に戦いを挑む運送会社の社長役だ。原作の設定である「ずんぐりした体型」とはイメージが違うが、今回も長瀬の演技力でこのギャップを埋めてくれるのだろう。(文=高橋梓)