セブン-イレブンの看板(撮影=編集部)

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 セブン-イレブンの次世代型店舗「セブン-イレブン町田小山町店」が7月下旬、東京都町田市にオープンした。街道沿いにある郊外型の店舗だ。

 セブン-イレブン・ジャパンは、幅広い客層を取り込んで売り上げを伸ばすために、新しいタイプのレイアウトを導入した新型店の展開を推し進めている。コンビニエンスストア飽和説が囁かれ、新規出店の余地が狭まるなか、次世代を担うことになる新型店を導入することで1店当たりの売上高を上げ、全社の業績向上を狙っているのだ。

 新型店である同店の外観を一目見て、従来の店舗とは大きく異なることがわかった。正面から見て横に長いのだ。店舗面積は従来の同型店舗より3割ほど広い。店に入ると真正面奥にレジカウンターがあり、緑色の制服を着た店員がレジ内から挨拶をして出迎えてくれた。

 レジカウンター内の壁にはセブンのロゴが店員の頭上あたりに掲げてあり、入店した瞬間に目に入ってきたのが印象的だった。「ここはセブン-イレブンである」という、当たり前ともいえる事実を客に再認識してもらうかのようにロゴが配置されている。

 通路が広いのも特徴的だ。壁沿いの通路は特に広く、2メートル程度はあるだろう。通りやすいのはもちろん、商品を見渡しやすくなった。従来の通路幅だと、背中合わせの客や通行客とぶつからないか気にしなければならないこともあったが、新型店の広い通路幅であればそういったことを気にしなくても済み遠慮せずに商品を選ぶことができる。また、商品棚の最下段にある商品の視認性が上がるだろう。

 店内の中央にある商品棚の高さは、従来よりも15センチほど低くなっている。高齢者や女性でも商品を手に取りやすい仕様になったといえる。また、上方の視界が広がったため、圧迫感が低減されている。見渡しやすく、ゆったりとした空間が広がっていた。

 さらに、レジカウンターの長さは従来の1.5倍程度はある。コーヒーや中華まん、揚げ物などをふんだんに置けるスペースがある。精算するための商品を置くスペースも十分に確保されているため、レジでの作業効率が良さそうに感じる。つまり、ピークタイムの混雑緩和が期待できる。

 レジカウンターを正面にして左手一面には、弁当やおにぎり、サンドイッチ、総菜などが所狭しと並んでいた。従来よりも多くのスペースを確保していた。「中食」の需要が拡大していることを受けてのことだろう。共働き世帯や単身世帯の増加、高齢化の進展などによって、自炊の手間を省く人が増えている時代背景に合わせた施策といえる。

 窓際には、6席あるイートインコーナーがあり、買った弁当などをそこで食べることができる。駐車場に停めた自動車の中で食事をしなくても済むため、ドライバーたちが重宝しそうだ。また、カフェ代わりにもできるし、無料でWi-Fiも使えるので、ビジネスパーソンがちょっとした仕事をこなすために利用するケースも想定できる。

 雑誌は、イートインコーナーとは入り口を挟んで反対側の窓際に設けてあった。スペースは従来とさほど変わらない。セブンでは雑誌や書籍の16年の売上高が、10年前の06年と比べて6割減ったという。そのため、新型店では中央の商品棚に移して規模を縮小する方針を示し、実際にそのようにした店舗もあったが、町田小山町店はそうではなかった。雑誌の扱いは試行錯誤中で、どのようにするのかまだ決めかねているのかもしれない。

 日用品が充実しているのも特徴的だった。入り口から入ってすぐ右前方に、単品・5個セットのティッシュペーパーと、単品・12個セットのトイレットペーパーが山積みされていた。ティッシュペーパーなどは、一般的な狭い店舗では単品でしか置いていないことも多いので、セット品があるのは広い店舗ならではといえるだろう。ほかの日用品も充実しており、家庭の需要に即した品揃えといえる。

 町田小山町店の店舗面積は従来の同型店舗より3割ほど広いため、広い敷地を確保できる郊外店での適用モデルとなりそうだ。

●次世代型店舗でコンビニ市場シェア50%狙う

 従来とは異なるこういったレイアウトに変更するのは、時代がたつにつれて客層や消費者ニーズが大きく変わってきているためだ。セブンでは16年度の段階で、購入客の50歳以上の比率は07年度比14.2ポイント増の40.0%、女性客比率は同5.1ポイント増の47.4%にもなるという。町田小山町店で通路幅を広くし、中央にある商品棚の高さが低くなったのは、増加している高齢者や女性の客が買い物しやすいようにするためだ。

 カテゴリー別の売上高では、16年の冷凍食品は10年前の06年と比べて4.7倍、中華まんや揚げ物などのカウンター商品は2.6倍、日用品は1.2倍に増えている。一方、雑貨は3割減少、雑誌や書籍は6割減少した。こういった売れ筋の変化に合わせて、レイアウトの割り当てを変更するのだ。

 セブンは、冷凍食品や日用品を充実させた新レイアウトを導入した新型店の展開を本格的に推し進める方針だ。現在、セブンは国内に約2万店あるが、今年度中に既存店と新店を合わせた約1900店に適用することに加え、21年度までに1万店以上で採用する考えを示している。

 店舗面積が従来よりも広いタイプの店舗の展開を拡大することで、売り上げは向上しそうだ。ただ、より広い敷地面積が必要となる店舗では、地代家賃の負担が従来よりも増加することになる。その場合、増加する地代家賃をカバーできるほどの売り上げが確保できるかが焦点となる。

 セブンは新レイアウトの導入効果として日販(1日当たりの平均売上高)を3〜4万円押し上げると計算している。セブンの日販は、長らく60万円台で推移しているため、押し上げ効果は全体の5%程度と大きい。1人当たりの客単価が変わらないとした場合は、1時間当たり2〜3人程度の客数を増やす必要があり、客数が変わらないとした場合は客単価を5%(30〜40円)程度高める必要がある。ハードルは低くはない。

 新レイアウトを先行して導入した8店では、4カ月間の実績で5万円近い日販の押し上げ効果があったという。特にファストフードが好調のようで、3万円以上押し上げた。ファストフードは粗利益率が高いため、全体の粗利益率も改善している。先行の8店に限れば、日販は当初の見通しを大きく上回ったため、上々の滑り出しといえそうだ。

 セブンは新レイアウトを導入することでコンビニ市場シェアを50%にまで早期に引き上げる考えを示している。新レイアウトに対して消費者がどのような判断を下すのか、注目される。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)