米国債のイールドカーブが注目される理由

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多くの金融市場の関係者が注目しているものの1つにイールドカーブがあります。イールドカーブとは年限の異なる国債の利回り水準を線で結んだものを言います。イールドカーブは図のような形をしており、横軸は年限、縦軸は国債利回りを示しています。通常、国債の利回りは残存期間が長くなるほど高くなるので、イールドカーブは右肩上がりの形状をしています。特に注目されているのは米国債のイールドカーブです。イールドカーブの形状が米国の経済動向によって変化するからです。

図では3つの異なる時点の米国債のイールドカーブを表示しています。緑色が米国大統領選挙前の2016年10月末時点、黄色が米国大統領選挙後の2016年11月末時点、そして青色が直近時点です。緑色と黄色のイールドカーブを比較すると、右側の長期ゾーンで著しく上昇していたことが分かります。これは当時、トランプ氏が大統領選挙で勝利したことにより、米国の景気拡大が期待され、米国の長期債を売って株式を買うという動きがあったためと考えられます。債券の利回りは債券価格が下落すると上昇し、債券価格が上昇すると低下する反対の関係にあります。長期ゾーンの利回り上昇は投資家の景気拡大の期待を示していると考えられます。

しかし、黄色と直近の青色の線を比較すると、短期ゾーンでは直近の方が高くなっており、長期ゾーンでは直近の方が低くなっています。長期ゾーンでの利回り低下は、投資家が米国株から米国債に資金を戻したことのあらわれかもしれません。つまり、投資家はトランプ政権に景気拡大政策の実行を期待したものの、その期待は徐々に剥がれ落ちて米国大統領選挙以前の状態に戻りつつあることをイールドカーブの変化から推察することができます。一方で、短期金利が上昇しているのはFRBによる追加利上げや保有資産縮小の動き、いわゆるテーパリングによるものと考えられます。

短期ゾーンの利回りが長期ゾーンの利回りよりも高くなる状態、つまり、イールドカーブが右肩下がりの状態を「逆イールド」と言います。過去の米国株式市場とイールドカーブの関係を見ると、「逆イールド」が発生した後に株価のピークを付けていました。今後の米国債のイールドカーブの変化にはいっそう注視したほうが良いでしょう。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。