ビジネスシーンで避けては通れないのが、プレゼン資料の作成。でも、作るのが面倒で過去のデータを修正して使い続けていたり、何日も時間をかけて作ったのにほとんど見てもらえなかったり。そんな経験、ビジネスパーソンなら誰しもあるでしょう。

そこで今回は、プレゼンの資料作りの基本について、プレゼン・コンシェルジュの天野暢子さんにコツを伝授してもらいました。

 

表紙であなたのビジネススキルは見透かされる

【ポイント】

・相手のメリットを具体的な数字で記載する

・色と写真を効果的に使う

・「ご提案」「御中」「日付」の表記に注意!

 

天野さんによれば、理想のプレゼン資料は1枚! ついつい、ページ数=クオリティと勘違いして情報量を増やしてしまいがちですが、プレゼン資料とはシンプルであればあるほどいいのだそうです。

 

「プレゼン資料は、どんなに多くても10ページまで。お客さまから求められる仕様などによって、やむを得ずページ数が増える場合は、最初に目次をつけるといいでしょう。作る際に一番大事なのは、1ページにメッセージは1点におさえることと、資料の“ゴール”を明確にすること。まずは最低限、この2点を守りましょう」(天野さん・以下同)

 

今回は、同じ内容のプレゼン資料を比較しながら、解説してもらいました。まずはプレゼン資料の顔とも言うべき表紙は、どこに注意すればいいのでしょうか?

 

「実は一番大事なページは、表紙なんです。ここでお客さまの『見たい』『見たくない』が決まってしまうだけでなく、ビジネスパーソンとしての資質までわかってしまいますから、表紙にはもっとも力を入れましょう」

 

NG

OK

「上の表紙は、一見シンプルでわかりやすいように見えますが、ありがちなミスが散見されますね。まず、お客さまの名前は左上に配置するべきです。日付も和暦が基本で、表紙にページ番号は不要です。敬称は法人であれば『御中』を使いましょう。『提案書』は『ご提案』に。なによりAの表紙では、この『中継セミナーシステム』とはどういうものなのか、表紙からまったく伝わらないのが問題です」

 

一方、下の表紙は色と写真を使っていることに加え、「現地と中継で集客が3倍」と、相手にとってのメリットを明記しているのがポイントと、天野さんは説明します。

 

「表紙で相手の興味をひきつけるためには、具体的な数字でメリットを示しましょう。例えば、“とても美味しい”と説明しても、人によって受け取る印象が異なりますが、数字で示せば具体的にイメージしてもらうことができます。また、伝えたい内容をより印象づけるために、色も上手く使うといいですね。使う色は自社や相手のコーポレートカラーや、商品やサービスのキーカラーが望ましく、もっともやってはいけないのは、提案先の競合を思わせる色を使うこと。例えば、セブンイレブンへの提案書に、ローソンをイメージさせる青色を使うのはもってのほかです」

 

グラフの基本は“ノイズ”の削除!

【ポイント】

・プレゼン資料の背景は「白」が基本

・グラフでは“ノイズ”を削除

・使う色は最大3色まで

 

続いて、プレゼン資料に必ずといっていいほど登場する、グラフの使い方をチェックしましょう。これを上手に使えば、より説得力のある資料になりますが、実はここに落とし穴があるのです。

 

NG

OK

「上の資料のグラフでは、背景に水色を敷いた上に、見出しにも色を使い、さらにグラフでも異なる色を使っています。目立たせるためにたくさんの色を使うことで、かえってどこを見ればいいかわからなくなってしまっていますね。プレゼン資料で使う色数は、最大3色までにしましょう。また、PowerPointやKeynoteには見栄えのするテンプレートがいくつも用意されていますが、よほどのことがない限り、白地を使いましょう」

 

反対に下のグラフでは、枠線だけでなく、目盛り線も削除するなど、ギリギリまで情報を絞っています。

 

「下のグラフは一見、情報量不足に思えるかもしれませんが、プレゼン資料のグラフでは、細かな数字を伝えるよりも、『増えた』『減った』を瞬時に伝えるほうが大事。下のグラフでは、枠線や目盛り線といった“ノイズ”を省略することで、相手に注目して欲しい点線の囲み部分に、自然と目がいくようになっています。また、下の資料の右下もポイントですね。矢印に赤と青の色を使うことで、よりわかりやすくしています。プレゼン資料で凝ったグラフを使っている方もいますが、見慣れないグラフはかえって見づらいケースも少なくありません。棒グラフや折れ線グラフ、円グラフで十分でしょう」

 

文字は図や写真で置き換える

【ポイント】

・文字を写真や図に置き換えられないか考える

・下線は“ノイズ”。使うなら色文字に

・いろんな種類のフォントや文字サイズを使わない

 

プレゼン資料では、「あれも伝えたい」「これも説明しないといけない」と、どうしても文字が増えてしまいがちです。でも文字の多いプレゼン資料も、典型的なNG資料のひとつ。どうすれば、最小限の文字で伝わりやすい資料が作れるのでしょうか? ポイントは、写真と図解にありました。

 

NG

OK

「文字は少なければ少ないほど、いいプレゼン資料と言えます。例えばYahoo! ニュースの見出しは、たった13文字ですが、ついクリックしてしまいますよね。つまり、それだけの文字数で充分伝わるということなんです。この2点の資料は、同じ内容を伝えているものですが、上のように文字の多い資料ではひと目で読みたくなくなります。

 

一方、下の資料では文字を写真とマル・バツの記号、図解に置き換えることで、瞬時に理解できる資料にしています。また、上では目立たせようと下線を使っていますが、これも逆効果。下線は目立たないどころか、ノイズとなってしまいます。文字を強調したい場合は、赤文字にするなど色の使い分けをしましょう。またフォントの種類は見出しと本文を変えるだけで充分。目立たせようと、いろいろな文字サイズを使ったり、斜体にしたりするプレゼン資料もよく見かけるのですが、これらも見づらくなる場合がほとんどです。文字の大きさは大・中・小の3種類。フォントは見出しと本文を変えるだけに留めましょう」

 

目指すべきはニュース番組のフリップボードやテロップ

「今回紹介したほかにも、資料の最後に『ご静聴ありがとうございました』『以上。』といった意味のないページがあったり、冒頭に社会背景や業界の動向などをまとめたりした資料がよくありますが、これも不要です。渡す相手にもよりますが、市場動向などは、相手のほうがよく知っていることも多いでしょう。資料はあくまで相手に見ていただくもの。あくまで、プレゼン、提案を受ける相手の立場に立って、資料を作ることを忘れないようにしましょう」

 

こうして見ていくと、今まで作っていたプレゼン資料が実は間違いだらけだった……なんて人も少なくないのではないでしょうか? 最後に、天野さんに自分が作ったプレゼン資料の良し悪しをチェックするコツを教えてもらいました。

 

「プレゼン資料作りで参考にして欲しいのは、テレビのニュース番組などで使われている、フリップボードのグラフやテロップ、もしくはスーパーといわれる画面に重ね合わせた文字情報です。これらはわずかな時間で視聴者に理解してもらうために、非常にシンプルでわかりやすく作られています。そこで、自分が作った資料が、たとえテレビで放映されていても違和感がないかどうかを、ひとつの基準として考えるといいでしょう」

 

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