< ベルギー > ネイサンさん(仮名)・ベルギー人男性30代

 

雑誌やテレビなどでは、これまでにさまざまな不思議写真が公開されてきたと思う。たとえば、ビッグフットやネッシーなどのUMA写真、編隊で浮遊するUFO写真、そして多種多様な心霊写真。そんな不思議写真の中でも特に謎めいた写真といえばタイムトラベルをうかがわせる写真である。

 

筆者はこれまでにタイムトラベルとウワサされる写真をインターネット上で数点見たことがある。心霊現象は信じても、さすがにバック・トゥ・ザ・フューチャーはありえないのではないか、という人もいることだろう。たしかに、心霊現象からさらに飛躍した印象を受ける内容だが……。

今回の話はネイサン(仮名)本人が次元の狭間に入り込んだという話ではない。時間をジャンプしたのは一本の「万年筆」らしい。彼の話を信じるか信じないかは皆さんの自由である。

 

ネイサンは子供のとき、ひいおじいちゃんから一本の万年筆をプレゼントしてもらった。ペンを気に入ったネイサンは頻繁に使っていたが、ある時ベッドルームで無くしてしまう。ネイサンがペンを無くしたことを両親に伝えると、

 

「よく探しなさい。あなたの部屋で無くしたんでしょ? ひいおじいちゃんはもういないのよ。大事な形見なんだから」

 

ネイサンはとても残念そうな両親を見て、再度ベッドルームをくまなく探すが、やはり見つけられなかった。

 

それから2年の月日が流れ、ネイサンは無くした万年筆のことなどすっかり忘れてしまっていた。

 

ある日、ネイサンはベッドに寝そべってゲームボーイで遊んでいた。ふと、視界の隅に動くものを感じる。彼は「クモかな」と思いゲームの画面から視線を上げた。視線を向けた先には彼の衣類が入ったタンスが置いてあり、そのタンスの上で何かが動いている。

 

「……虫?」

 

それはクモが天井から静かにスーっと降りてくるように、ゆっくりと音をたてず、一定の速さを保ったまま真っ直ぐにタンスの上に無音で着地したのである。ネイサンは、ベッドから降りてタンスの方へと近づいていった。タンスの前まで行ったとき、なぜそれがそこにあるのか、いやそれよりも、どうして空中に突然現れてまるで無重力空間から出てきたかのようにゆっくりと着地したのか理解出来なかった……目の前には2年前に無くした形見の万年筆があった。

 

「一体どうやって現れたのか本当に分からないんだよ。最初は視界の隅で感じて……で、見たらスローモーションのように上から下に降りてきてタンスの上で止まったんだ」

 

突如出現した「無くした万年筆」。

 

ネイサンは手に取って自分のものかどうかを調べた。すると驚くべき事実が分かった。

 

「この事実をだれも信じてくれない。君は幽霊を見たことがあるんだろう? ウソはいってない。君がフレンドリーだと思ったから話したんだ」

 

万年筆は通常のボールペンと違い、ペン先が乾いてしまうと固まったインクのせいで一時的に書けなくなる。このため、数十分以上使用しない場合はキャップをするなどして乾燥を防止する。モノによっても多少の違いがあるようだが、ネイサンの万年筆はすぐに乾くタイプであり、インクの交換はカートリッジ式であった。したがって、10分もすれば乾きはじめ、丸一日も放置すれば書けなくなるのである。そうなると再び書くためにはペン先を丸ごと水洗いするなどのメンテナンスをしなければならない。

 

しかし、タンスの上に降りた万年筆はペン先がインクでまだ濡れていたのだ……!

 

文=MASK校長

 

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