マンUファンの語り草ともなっている「92年組」。彼らにプロとして生きるための術を叩き込んだのが、恩師のE・ハリソンだった。 (C) Getty Images

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 マンチェスター・ユナイテッドのレジェンドたちは今もなお、恩師への感謝の念を忘れていないようだ。現地時間9月16日にデイビット・ベッカムらが、現在、認知症を患っているユース時代の恩師の元を訪れたことを、英紙『サン』が紹介している。
 
 ベッカムやライアン・ギグス、ポール・スコールズ、ガリーとフィルのネビル兄弟、ニッキー・バット……。彼らは90年代から2000年初頭にかけてマンチェスター・Uで黄金期を築き、時代の寵児ともなった。
 
 そんなマンチェスター・U「伝説の92年組」は、アレックス・ファーガソンの下で大成したことから「ファギー・フレッジリングス(ファギーの雛鳥)」とも呼ばれたが、そんな彼らに基礎を叩き込んだのは、ユース時代の指揮官エリック・ハリソンだった。
 
 ファーガソンがトップチームの指揮官となった1986年からマンチェスター・Uの育成責任者となったE・ハリソンは、まだお青二才のベッカムやギグスらに基礎を徹底的に叩き込み、93年にはFAユースカップ決勝進出、95年には同大会優勝に導いた。
 
 そんな恩師が認知症という病に苦しんでいることをベッカムらに伝えたのは、孫のジョー・ハリソンだった。サン紙によれば、J・ハリソンは英国認知症協会を通じて、祖父のかつての教え子たちに連絡。それから1週間のうちに、92年組全員との再会が実現したという。
 
 79歳となって認知症が進行しているという父エリックの様子について娘のビッキー・ハリソンは、英国紙『タイムズ』のインタビューで、「父はまだ、当時の教え子全員の連絡先を覚えている」としながらも、病の深刻さを嘆いている。
 
「サッカーはいつでも、父の情熱だったわ。どのレベルの、どんな試合だろうと、それを見守るために、全てのことを止めていたの。だけどある日、サッカーを見ることを止めてしまった。それが、認知症であることを知った時よ。それまでサッカーは、本当に父の人生そのものだったのに……」
 
 ただ、かつての教え子たちと再会したE・ハリソンには当時の記憶があるようで、祖父の様子についてJ・ハリソンは、「とても面白かったよ。彼らが来た途端、当時のような態度を取り始めたんだ。みんなびっくりしていたね」と振り返っている。
 
 残念ながら認知症を完治させる術は、研究こそ進んでいるものの、いまだ見つかっていない。そんな不治の病を患った恩師に、かつての記憶を呼び戻させた伝説の92年組。何年経とうとも、何があろうとも、彼らの絆は永遠であるということだろう。