米ミズーリ州セントルイスで、警官隊とにらみ合うデモ参加者ら(2017年9月16日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米ミズーリ(Missouri)州セントルイス(St. Louis)で、黒人男性を射殺した白人の元警官に裁判所が無罪を言い渡したことから抗議デモが暴徒化し、3日目となる17日も市内で混乱が続いている。同市では16日にアイルランドの人気ロックバンド「U2」と英歌手エド・シーラン(Ed Sheeran)さんのコンサートがそれぞれ開催予定だったが、騒ぎを受けていずれも公演中止となった。

 当局発表やメディア報道によると、15日に始まったデモは当初穏やかに行われていたが、夜になって暴徒化。2日目となる16日夜も、市内各地で暴徒らが商店のガラス窓を割ったり警官隊に石やごみ、コンクリート片を投げつけたりして騒ぎ続けた。17日には、数百人が警察署の前で地面に横たわる抗議「ダイイン」を行い、その後市内をデモ行進した。

 U2とシーランさんは、安全性が確保できないと警察から連絡を受け、公演中止を決定した。USのボーカル、ボノ(Bono)さんは「セントルイスで起きたことに深い悲しみを覚える」「これは1968年か、それとも2017年なのか?」とインスタグラム(Instagram)に投稿している。

 発端は、2011年に麻薬密売容疑で警察に追われた黒人のアンソニー・ラマー・スミス(Anthony Lamar Smith)さん(24)が、白人の警官に射殺された事件だ。セントルイスの裁判所が15日、カーチェイスの末にスミスさんを射殺した当時警官だったジェイソン・ストックリー(Jason Stockley)被告に対し、無罪を言い渡したことからデモが起きた。

 セントルイスでは警官が黒人容疑者に暴力的に対応する事例が相次いでおり、2014年には郊外ファーガソン(Ferguson)で黒人青年マイケル・ブラウン(Michael Brown)さんが白人警官に射殺されて大規模な抗議運動に発展するなど、人々が神経をとがらせている。

 ストックリー被告は事件当時、スミスさんが麻薬の密売をしたとみて追跡。カーチェイスの末、スミスさんに5回発砲して殺害した。車載カメラには、ストックリー被告が同僚の警官に「あの野郎を殺してやる」とののしり言葉を使う場面が捉えられていたことから、検察は被告に殺意があったとみなし、また被告が拳銃をスミスさんの車内にひそかに置いたとして、2016年にストックリー被告を第1級殺人罪で起訴した。

 しかし、ティモシー・ウィルソン(Timothy Wilson)判事は証拠不十分でストックリー被告に無罪を言い渡した。ストックリー被告は地元紙セントルイス・ポスト・ディスパッチ(St Louis Post-Dispatch)に対し「遺族のつらさや、みんなが誰かを責めたい気持ちは分かる」「でも、その矛先は自分ではない」と語っている。
【翻訳編集】AFPBB News