80〜90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズ。第12回は、希有なミドシップカーを身近な存在にしたコンパクト・スポーツに太鼓判です。

省エネブームの中、ファン・トゥ・ドライブなスポーツを模索していたトヨタが、1984年、FF車開発の中で生まれた高性能エンジンを使い、まったく新しい発想のコンパクトスポーツとして発表したのが初代のMR2です。

緩いクサビ型のボディは、パーツを共用する80系カローラに似たクリーンな面を持ち、濃いグリーンのイメージカラーとともに、このクルマがストレートな情緒よりもある種の落ち着きを目指していることが分かります。

低いながら一定の厚みを持たせたフロントノーズと、カローラセダンに類似するリアパネルは、スポーティなボディでありつつ、同時にどこか端正な佇まいを醸し出します。

キャビンは、ブラックアウトしたAピラーと、リアクオーターのブラックトリムが、比較的大きなキャビンを軽くスマートに見せることに成功。スポーティさと居住性を両立しました。

一方、ミドシップらしいトンネルバックとサイドのエアインテーク、赤や黄色など原色を配したスポーツシートなど、随所に散りばめた仕掛けが、端正なボディに適度な異質感を与えます。

デザインチームは、同様のコンセプトを持つフィアットX1/9などを参考にしながらも、より広い層のユーザーが関心を持ち、量販が期待できるミドシップという難題にチャレンジしました。

その視点が、明らかにスポーティでありながら、セダンのような身近さも感じる独自のスタイルを生み出したといえそうです。

●主要諸元 トヨタ MR2 1600G-Limited(5MT)
型式 E-AW11
全長3925mm×全幅1665mm×全高1250mm
車両重量 950kg
ホイールベース 2320mm
エンジン 1587cc 4気筒DOHC16バルブ
出力 130ps/6600rpm 15.2kg-m/5200rpm

(すぎもと たかよし)

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