昌子(3番)は「後半の試合をやれば絶対に負けない。僕らはもっと成長できると分かった」と前を向いた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ26節]新潟2-4鹿島/9月16日/デンカビッグスワンスタジアム
 
 鹿島の明暗が前後半でくっきりと分かれた。「どの試合でも同じような展開になってしまう」と前節の大宮戦終了後に土居聖真が懸念したように、新潟戦でも悪癖が出てしまった。
 
 鹿島の課題は前半の戦い方。新潟相手に前半だけで2失点。最下位との対戦で油断が生じたという見方もあるが、「うちは試合の入り方がいつもよくないし、そこが課題」と土居は言う。チームは前半に失点をする傾向が強く、この試合も例外ではなかった。
 
 相手の出方をうかがいながらのスロースタート。自分たちが主導権を握る前に出鼻をくじかれた。5分、右サイドの山崎亮平から中央の小川佳純に鮮やかにパスを通されると、最後はゴール前のドウグラス・タンキへとつなげられ、先制点を献上した。
 
ここから徐々に反撃に出るが、18分の金崎夢生のヘディングシュートは枠を捉えられず、39分の金森の決定機は、シュートではなくパスを選択するという積極性を欠くプレーで好機を逸し、度々訪れたチャンスを生かすことができなかった。
 
 前半終了間際にも失点し、2点ビハインドでハーフタイムに突入。ここで大岩剛監督の檄が飛んだ。
 
ロッカールームで指揮官は「もっと勝ちにいくプレーを出せ」と選手たちを鼓舞し、「満男、外から見ていて何かあるか?」と、この試合控えに回っていた小笠原満男に発言を求めた。小笠原は「新潟のほうが勝ちたい気持ちを出しているし、そこからして相手に負けている」と38歳の大ベテランは仲間に言い放った。
 
 大岩監督、小笠原の言葉で目が覚めたチームは、後半は見違えるようにプレー。49分にレアンドロがCKに頭で合わせて反撃の狼煙を上げると、その後は守備の手薄な左サイドを攻略し、67分、81分とレアンドロが追加点。2012年10月のドゥトラ以来約5年ぶり、クラブ史上12人目のハットトリックを達成した。終盤にも金崎がPKを決め、終わってみれば4-2で実力の差を示す勝利となった。
 
「(試合後に)『始めからこういう試合をやろうや』と声をかけた。前半と後半では明らかに別のチームで、相手が浦和やG大阪だったら逆転は無理だった」と昌子が話したように、選手たちは一様に前半の低調なパフォーマンスを反省。試合への入り方を改めて考えさせられる内容となった。
 
 リーグ戦は残り8試合。G大阪や浦和、横浜、柏など強豪との試合が控えている。昌子は新潟戦前半の戦い方をしっかりと戒めながらも「後半の試合をやれば絶対に負けない。僕らはもっと成長できると分かった。残り試合全勝で優勝する」と課題のなかに、確かな手応えを見出した。