ポドルスキの生かし方をチームが理解し始めたようだ。写真:川本学

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[J1リーグ26節]神戸2-0札幌/9月16日/神戸ユ

 神戸ユニバーで行なわれた神戸対札幌は、2-0でホームの神戸が勝利した。これで神戸は前節のG大阪戦に続く2連勝。上位浮上のきっかけを掴んだと言える。
 
 だが、ここまでの道のりは平坦ではなかった。特にポドルスキの加入後は、期待値が高かった分だけ苦戦が続いた印象だ。
 
 Jデビューとなった19節の大宮戦(7月29日)では、挨拶がわりの2ゴールでチームを勝利へ導いたポドルスキ。だが、それ以後はなかなか当たりが生まれず、久々にゴールを挙げたのは約1か月後の第24節・磐田戦(8月26日)だった。
 
それに呼応するようにチームも勝利から見放され、22節のFC東京戦(8月13日)の後にはネルシーニョ監督が解任。吉田孝行ヘッドコーチが後任監督として暫定的に指揮を執ることになるなど、チーム内に困惑の風が吹いた。
 
 そのバタバタ劇の渦中にポドルスキが居た。日本の蒸し暑い夏に身体が慣れず、チームメイトのプレースタイルを把握するのにも時間がかかった。周りとフィットせず、試合中に苛立つシーンもしばしば見られた。言い換えれば、ポドルスキの取扱説明書をチームが持っていなかったのである。
 
 だが、今節の札幌戦で一気にポドルスキの活かし方が見えたように思われる。その答えのひとつとして彼のシュート本数に注目したい。
 
 Jデビュー戦の大宮戦ではシュート3本で2ゴールを挙げ、決定力の高さを証明した。だが、続く柏戦はシュート2本のみ。翌節の鹿島戦では5本放っているが、タフシュートが目立った。
 
その後、FC東京戦では1本、横浜FM戦では0本、来日3ゴール目を挙げた磐田戦でさえわずか2本と少ない。そしてG大阪とのカップ&リーグ3連戦では、3本、2本、2本と相変わらず少なめだった。
 
 だが、今節の札幌戦では来日後最多となる7本。しかも黄金の左足シュートだけではなく、右足もある。闇雲に打てばいい訳ではないが、この日のポドルスキはシュートを多く放つことで相手の脅威になった。
 
 特に田中順也の先制点のきっかけとなった強烈な右足シュートは、相手を翻弄するのに効果的だった。あの一発によって、札幌DFは左だけではなく、無意識のうちに右も警戒することになる。これによって“ポドルスキに右はない”というある種の割り切りができなくなってしまったため、DFはより多くの選択肢を想定せざるを得なくなった。つまり、DFとの駆け引きにおいて、あの一発でポドルスキが優勢に立った訳である。
 
 結果として、その優位性がシュート7本につながったのかもしれない。だが、この7本がチームにとって大きな勝機を生む。世界的なスター選手に7本も打たれれば、守備の意識はどうしても彼に向かう。そして彼にDFが2、3枚つくことで周りの選手がフリーになる。回り回って、周りの選手がポドルスキに良いパスを供給でき、シュート本数が増える。そういう好循環が7本によって生まれたという見方もできる。
 
 ショート本数はポドルスキの調子を見るバロメーターであり、チームのバロメーターでもあると言えそうだ。
 
取材・文:白井邦彦(フリーライター)