日本よりも貧困が進んでいる国、いわゆる「貧困先進国」のさまざまな施策から、われわれは何を学べるでしょうか?(写真はイメージです)

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日本は経済規模を示すGDPランキングで世界第3位。世界でも稀に見る豊かな国として確固たる地位を築いている。しかし、全国民の所得を平均したとき、中央値のさらに半分に満たない人の割合「相対的貧困率」は、世界34カ国中、第6位(2010年、OECD調査)と、かなり高いことをご存じだろうか。(フリーライター 末吉陽子)

“貧困先進国”の取り組みに
日本は何を学べるか

 世界における相対的貧困率のワースト国はメキシコ。続いてイスラエル、米国、トルコ、チリ、エストニアとなっている。いわば“貧困先進国”とも言えるこれらの国々は、貧困層への対策や保障をどのように行っているのか。格差が広がり続ける日本にも応用できる取り組みはあるだろうか。

 たとえばメキシコ政府は、質の高い雇用と経済成長を政策に掲げ、教育や医療保険に力を入れる社会福祉国家の確立を目指してきた。また、貧困地域に照準を絞ってインフラ整備も進めている。

 具体的な事例として挙げられるのは、世界に先駆けて貧困層をターゲットにした条件付き現金給付(Conditional Cash Transfers、以下CCT)プログラムである『プログレサ』。厳密な資力調査を行い、本当に支援を必要としている家庭を見極めて受給資格を与えるというもので、子どもの通学や定期健康診断の受診を義務付けることが条件に組み込まれたことも画期的だったと言われる。

 こうした施策の有効性について、世界90ヵ国以上で貧困問題や格差社会の解消に取り組む国際NGO「オックスファム」の日本事務局次長・森下麻衣子氏に聞いた。

「確かにこうしたメキシコの政策は注目に値しますが、ただし現状では開発が遅れている地域も存在しますし、CCT自体も政策として評価が分かれています。かたやアメリカでは、『機会の平等は認める』が『結果の平等は認めてない』という方向性は変わっていません。そのため、基本的にお金がないと健康・教育・安全を手に入れられないような状態です」
 
 いずれも抜本的な改革には至っていないようだ。そんな中、貧困対策として話題となったのが、イギリスのブレア政権が1999年から取り組んだ政策だ。「地域再生」「コミュニティのためのニューディール政策(NDC)」を掲げ、住宅整備や教育、就労支援、犯罪対策に関して特に格差の激しい地域に、およそ3400億円を集中投下している。

 なかでも効果的だったとされているのが子どもの貧困対策で、貧困の児童数に応じて、学校に補助金を支出する「児童特別補助」や、子どもが18歳になってから教育や職業訓練に使うことができる「児童信託基金」、低所得世帯に現金を給付する「タックスクレジット」などの政策を実行。この結果、2005年には貧困世帯の子どもは、およそ80万人も減少したという。

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