本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!
 
【今回の相談】「夫とセックスレスになって4年です。長女を妊娠してからその気になれなくなってしまい、以来、夫の求めにまったく応じていません。娘が3歳になった先日、夫からセックスレスを理由に離婚したいと言われました。さらに、慰謝料も請求すると。そんな理由で離婚、しかも慰謝料まで払うなんてありえますか?」(30代女性・専業主婦)
 
【回答】「そんなことを法廷で争うなんて、大人げないというものですわ」(仲岡しゅん)
 
今回はセックスレスについての相談です。「セックスレス」という概念は、法律上どこにも定められていません。そこでセックスレスが離婚原因になるかどうかは、民法770条1項5号の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるかどうかが問題になるわけです。
 
そして、法律がこのような抽象的な定め方をしている以上、離婚原因となるかどうかは、セックスレスの原因や期間、それによって生じた夫婦の関係性の悪化の程度など、個々のケースを具体的に検討してみる必要があります。
 
夫婦だからといって、いついかなるときでも相手の求めに応じなければならないわけでは、もちろんありません。当然、貴女には性的自己決定権があるのですから、妻だからといって望まないセックスをする義務なんてありませんわ。貴女がお連れ合いの求めに数回応じなかったからといって、直ちに離婚原因となるものではありません。
 
他方、お連れ合いも貴女と婚姻している以上、貴女以外の相手との性行為は「不貞行為」になってしまうわけです。その状態がずっと続くとなると、なかなかつらいものがありますわね。
 
よって、特に合理的な理由もないのにセックスレスが長期間に及び、それが原因で夫婦関係が修復不能なまでに壊れてしまった場合には、離婚原因と認められるでしょう。
 
そしてもう1つのご質問、「慰謝料の対象となるかどうか」ですが、結論からいうと、その可能性はあります。セックスレスの原因が夫婦のどちらか一方にあり、合理的な理由もない場合には、請求されることもあるかもしれません。
 
しかし、理由のあるセックスレスと、理由のないセックスレスを区別するのはきわめて困難です。非常にプライベートな問題ですから、暴力や不貞行為と違って証明するのも難しいです。
 
もし、わたくしが相手方の弁護士だったら、離婚請求はともかく、慰謝料請求は控えるわね。小さなお子さんもいるんですから。そんなことを法廷で争うなんて、大人げないというものですわ。