私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「好感度の高いお客さん」に関する話題に続き、今回取り上げるのは「販売ノルマ」について。スタッフたちにとって大きな負担となっているこれらの実態と真の狙いとは。またスタッフがやむを得ず自腹購入した商品のその後について、日比谷さんが赤裸々に紹介しています。

販売ノルマは店のレベルアップには必要不可欠?

コンビニで恵方巻きやクリスマスケーキなどが販売される時季になると、近年決まって取り沙汰されるのが、アルバイトやパート従業員に課せられるという「販売ノルマ」の存在。ノルマ達成のために従業員が自腹購入を強いられたという話も報告されるなど、その言葉には悲惨でダーティなイメージがつきまといます。

大手コンビニ各社は、このような「販売ノルマ」を店側に課していることを揃って否定しています。ただ「販売ノルマ」という言葉は使われませんが、いわゆる「販売競争」「販売ゲーム」と呼ばれる行為は、どの店舗でも行われています。

この「販売競争」「販売ゲーム」ですが、要するに勤務シフト時間内で店長から指示された商品を「何個販売できるか?」を競争するというもの。とある店舗では、時間帯によって来店客数に偏りがある点を考慮し、時間毎に販売リーダーのスタッフを決め、来店客数に対する販売数比率を目標値として設定したうえで、その達成率を争うということも行われていました。

各店舗にとって、このような「販売競争」「販売ゲーム」の実施は、売上アップというメリットがあるのはもちろん、店舗としての販売力強化、そして個々のスタッフの意識向上を図るという目的もあります。

つまり、アルバイトリーダーを中心に「どうやってたくさん販売しよう」と話し合い、モチベーションを高めてもらえると、マネジメント側としては本当に助かるのです。「POPを作っていいですか?」「お客さんに試食してもらっていいですか?」など、アルバイトたちが自主的に提案してくれるようになれば、これはもうしめたものです。

また「売りたい=お客さんにおすすめする」というモチベーションにつながるので、レジでの接客レベルも必然的に向上するという効果もあります。このように「販売競争」「販売ゲーム」の実施は、強い店舗づくりにおいて必要不可欠なものであると考えられているのです。

クリスマスケーキの販売は難易度がすごく高い

さて、この手の「販売競争」「販売ゲーム」ですが、パン・おにぎり・お菓子などといった売場に実際に展開されている商品なら、比較的簡単なのですが、「お中元・お歳暮ギフト」や「クリスマスケーキ」といった、店頭に実物がなくカタログでしか存在しない商品が対象になると、その難易度は格段に上がります。

この場合、お客さんと常日頃からコミュニケーションが取れてないと、なかなか予約の獲得までには至りません。逆に「カタログギフト」や「クリスマスケーキ」の予約をたくさん獲得できる店舗は、お客さんとの良好な信頼関係が構築できており、それでいて従業員の接客レベルも高いお店といえます。

ただ、そのように上手く事が運ぶ店舗があれば、なかなか成果の上がらない店舗も存在します。そのような店舗では、ノルマ達成へのプレッシャーに押されたスタッフによる「自爆買い」が発生してしまうのですが、その数も1、2個であればまだしも、一人では持て余すほどの多量となると、どう処理すればいいかと悩まされることになります。

とある店舗では、上司から強いプレッシャーに負け、社員たちがクリスマスケーキを大量に自爆買いしてしまいました。25日にケーキを受け取ったものの、店舗のゴミとしてそれらを廃棄するのは、もちろんご法度です。考えあぐねた彼らは、店舗の近隣にある河川敷に集まり、持ち寄った大量のケーキをまるで灯籠流しのように川へ放流。後日大問題となったそうです。

また別の店舗では、近隣の大規模霊園にクリスマスケーキがお供えされるという事案が発生しました。犯行に及んだのは、同じく自爆買いで大量のクリスマスケーキを抱えてしまったコンビニスタッフたち。お供えされたケーキには、ご丁寧にも火が灯されていたローソクも刺さっていたことから、世間で噂になることを狙った意趣返し的な行動のようでしたが、まったく話題に上がらなかったことを考えると、どうやら内々で処理されたようです。

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出典元:まぐまぐニュース!