リーガエスパニョーラ第4節。激しい雨がイプルアに降り注いでいた。


今季初アシストでエイバルのホーム初勝利に貢献した乾貴士

 マラガとの開幕戦に勝利したエイバルだったが、その後はアスレティック・ビルバオ、セビージャと続いたリーガの上位チームとの対決で連敗。特にセビージャ戦は、昨シーズンまでの前線からボールを奪い速攻を仕掛けるエイバルのスタイルを見ることができない完敗に終わっていた。悪い流れを断ち切るためにも、今節はホームでレガネスから勝利を獲得する必要があった。

 バケツを引っくり返したような雨が降り注いでいた前半は、5バックを敷いて守備を固め、2列目の飛び出しからカウンターを狙うレガネスの思い描いていた展開だった。乾貴士のいる左サイドを中心に攻め続けるエイバルだったが、チャンスらしいチャンスを作ることができずにロッカールームへと戻っていった。

 後半になっても雨は降り続いていた。スコアボードに映されるのはイエローカードをもらった選手たちの名前ばかりで、両チームとも決定機と呼べるチャンスをつくれずにいた。だが53分、停滞していた空気が一変する。エイバルのCBアレハンドロ・ガルベスがヘディングでネットを揺らすと、気温12度と、ひと足早い季節の変わり目を迎えた町の小さなスタジアムはたちまち熱気に包まれた。

 ピンポイントのアシストを見せたのが乾だった。中盤で相手のボールを奪い、上がってきたガルベスから左サイドでパスを受けると、ボールを持ち替えて、詰めてくる相手DFの間合いを外し、そのままオーバーラップしていたCBに、ドンピシャリのクロスを上げた。

「オーバーラップして上がってきたのは見えていた。ガルベスを狙ったのは確かだけど、クロスでアシストというのは好きじゃないので、満足していません。けど、チームとして決勝点となったのは大きかった」

 賞賛されてしかるべきボールを供給した乾だったが、本人の満足度はこちらが思ったのとは違う低いものだった。「大きい選手を狙って、ある程度の精度のクロスを上げれば決めてくれるものだ」と、乾は続けた。ゴールを決めた選手がすごいのであり、自身の上げたクロスはフォーカスされるほどのものではない、賞賛されるべきは値千金のゴールを決めたガルベスの力だというわけだ。

 とはいえ、乾のクロスが試合の状況を変えたのは確かだ。守備を固めてカウンターを狙い続けていたレガネスのプランを崩したのは、間違いなく日本人MFとスペイン人CBのコンビで決めたゴールだった。

 同点ゴールを目指して攻撃に比重を置くようになったアウェーチームにはスペースが生まれ、そのスペースを突いてエイバルは攻撃を仕掛け続けた。乾自身も外れはしたものの、約40メートルを独走してシュートを放ち2点目を狙っていった。

「あそこで結果が出せればよかったけど、もっとそういうシーンを増やしていければいいと思います」

「これまでの試合は迷いのあるプレーばかりを自分自身でやっていて、セビージャ戦が終わった後、考えなければいけない部分がいっぱいあった。去年のまま、サイドで待っているだけじゃ通用しないので、もっと中に入ったり、そういうプレーを増やして自分のプレーの幅を広げていかないといけないと考えていたので、動きの質だったり、そういうところを考えながらやっていた」

「今日は涼しかったので、走ることはできたかなと思いますけど、体のキレはまだまだ自分の中で納得いっていないので、もっとキレを出していきたいと思う。もっと自分で考えてやっていきたいなと」

 ……と、いつものようにミックスゾーンでの乾は自分の足りないところを並べていった。

 この試合、新たな得点はその後生まれず、雨はいつしかやんでいた。ホーム初勝利を飾ったエイバルのメンバーの顔には笑みが浮かんでいた。

 さらなる成長を求め続け、自分に対して厳しい乾はなかなか認めないかもしれないが、その笑顔の花を咲かせたひとつの要因が日本人MFのパフォーマンスにあることは確か。それはイプルアの誰もが認めている。

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