豊富な運動量で攻守に奔走した井手口。攻撃にも積極的に絡み、28分には右足で先制点を奪った。写真:J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ26節]大宮 2-2 G大阪/9月16日(土)/熊谷陸

 中盤で激しい守備を見せたかと思えば、次のワンプレーでは、ゴール前へ進出しシュートを狙う。

 攻守が目まぐるしく入れ替わっていたこの試合の序盤、G大阪の井手口陽介は持ち前のスタミナを生かしてピッチを駆け回った。まるで、ピッチを支配するかのごとく、井手口の動きはとにかく止まらなかった。

 この若きMFの魅力と言えば、守備面にあるのは間違いない。実際この試合でも、鋭い読みを利かせたボール奪取を何度も披露。ボランチでコンビを組んだ今野泰幸と上手く補完関係を築きながら、何度もピンチの芽を摘み取った。

 ただ、この試合におけるプレーで特筆すべきは、バイタルエリアに顔を出す回数が多かったことだ。

 20分、右サイドからのクロスを泉澤仁が折り返して放ったシュートはGKの好守に阻まれるもその8分後、またも泉澤からの浮き球のパスに反応した井手口は、ペナルティエリア手前からダイレクトで右足を振り抜く。すると、シュートはDFに当たってゴールへと吸い込まれた。

 自らの先制点について、本人はこう振り返る。

「ゴールのひとつ前も上手くゴール前に入れていたので、良い感じで入ることができたと思います。ゴールを取りたいという気持ちがより一層強くなっていて、チームを勝たせたいという気持ちも前より強くなっている。それが前面に出たんじゃないかなと思います」

 “チームを勝たせたい”という気持ち。まさにそれが、意識を“前(バイタルエリア)”へと傾けさせたのだろう。守備だけでなく、攻撃でも貢献して勝利を目指す。主力としての責任感が、今の井手口に芽生えつつあるのだ。

「攻められている時に我慢しないといけないですし、ポンポンと失点してしまうのはゲームを崩してしまう流れだったので、そういうところで我慢したり、攻撃でもチャンスはあったのでそこで決めきる力は必要だと思うので、そういう力を付けていかないといけない」

 最後にこう言って自らを戒めた井手口は今、心身両面で着実に進化を遂げつつある。オーストラリア戦でのあの鮮烈ゴールから1か月弱。今冬の欧州移籍も噂されるなど身辺が慌しくなるなか、どこまで進化し続けるのか、ガンバの若きMFからしばらく目が離せない。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)