岡崎体育、ミセス大森元貴、フレンズひろせひろせ……楽曲提供でも光る若手アーティストたち

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 若手アーティストがアイドルに楽曲提供するケースは、ここ数年で当たり前のように増えてきている。専業作家とミュージシャンがしのぎを削り、よりクオリティの高いポップスを生み出そうと切磋琢磨している状況だ。かつてはSMAPがその受け皿として機能していたが、いまや数多くの男性・女性アイドル楽曲で若手アーティストたちの活躍が見られるようになった。本稿では、アーティスト活動も充実させながら、提供楽曲でも才能を発揮し、さらなるブレイクへと邁進する若手を紹介したい。

岡崎体育、Mステ出演でさらなるブレイクなるか? リスナーに訴求する“2つの魅力”

・岡崎体育

 岡崎体育は、“盆地テクノ”を旗印に掲げ、ポップだがクセのあるトラックと、構造分析ネタを歌詞に乗せた「MUSIC VIDEO」や「Voice Of Heart」でブレイクし、最近ではロックバンドを元ネタにした「感情のピクセル」が話題になったアーティスト。関西出身でどこか芸人のリズムネタ的なセンスを活かしたポップソングに定評のある彼だが、そのキャッチーな要素を取り払い、楽曲だけを聴いてみると、先述したようにポップスの構造を分析し、それを面白おかしく実践していることがわかる。その実力は若手勢でも頭ひとつ抜けているという印象だ。

 そんな彼の代表的な提供曲は、関ジャニ∞の「えげつない」(アルバム『ジャム』収録)と私立恵比寿中学の「サドンデス」(アルバム『「中辛」〜エビ中のワクワクベスト〜』収録)。どちらも明るくバラエティ適性のあるグループということもあり、“アーティストのキャラクターを存分に活かしながら、構造で遊ぶ”という楽曲が目立つ。「サドンデス」ではMVの監督も務め、80’sディスコとドラムンベースを主軸としたポップスから、いきなりダンスバトルに突入するというミュージカル的な楽曲を生み出し、「えげつない」ではメンバー同士の関係性を徹底的に研究し、関西弁のフリースタイルで互いをディスり合うという物語を与えてみせた。どちらも聴き手にとっては「わかっている人」が作っている感覚になる楽曲である。それを生み出せるのは、岡崎が誰よりも勉強家であり、そのアーティストのことを研究し尽くしているからにほかならない。

・ひろせひろせ(フレンズ)

 今年初の全国流通盤1stアルバム『ベビー誕生!』をリリースした“神泉系バンド”フレンズのメンバーであり、楽曲の大半を手掛けるひろせひろせも、若手のなかでは注目のクリエイターだ。フレンズは元々、nicotenのメンバーでもあるひろせが、おかもとえみと組んでいたユニットからスタートしたバンド。ひろせは「特に好きだったのはビーイング系ですね。なんで俺はJ-POPがこんなに好きなのか調べていったら、好きな曲はだいたい織田哲郎さんが作ってるっていう結論にたどり着いたんです」(http://realsound.jp/2017/04/post-11947.html)と公言するほどのJ-POPフリークで、フレンズの楽曲はもちろん、提供作においてもキャッチーな楽曲を次々と生み出している。

 その一つが、SHE IS SUMMERと共作した楽曲「あれからの話だけど」(『Swimming in the Love E.P.』収録)。印象的なイントロのシンセやいなたいメロディの使い方は、ラップ調になる平歌やわざとテンポを崩して歌うサビ、というスリリングな展開も引き受けて落ち着かせ、逆に安心感を覚えさせるほど。最新の提供作であるSexy Zoneの「ぎゅっと」もドラマ『吾輩の部屋である』(日本テレビ系)主題歌としてオンエアがスタートしており、ひろせが得意とするキャッチーさを出しながらも、どこか懐かしさも感じさせる楽曲に仕上がっている。

・大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)

 10代・20代からカリスマ的な支持を受けている5人組バンド、Mrs. GREEN APPLEのフロントマン・大森元貴は、音楽家としてもこの世代で突出した能力とバランス感覚を持った稀有な存在だ。長年活動をともにした同バンドのギタリスト・若井滉斗も「大森は曲を作る時、頭のなかで鳴ってる音をそのまま落としこむタイプなんで。『ギターでこの音鳴らせるのか?』と思うようなアレンジをデモで入れていたり」(http://realsound.jp/2016/02/post-6324.html)と証言しているように、バンドでは大森が直感的に作った曲を理論的に他のメンバーが組み立てていくという。そんな彼の作るポップスは、洋楽ポップバンド的なフレージングや譜割り、楽器の使い方と、高速化・過圧縮化した現在のJ-POPをハイブリッドに混ぜ合わせたテンポ感が心地よい、中毒性の高い楽曲が多い。

 それは彼の提供曲にもいえることで、夢見るアドレセンスの8thシングル表題曲として書き下ろした「恋のエフェクトMAGIC」は、一聴するとただの主流なアイドルソングにも思えるのだが、聴けば聴くほどカラフルな音使いやコーラスワーク、エフェクトに選んでいる音色の選択などが抜群に上手いことを思い知らされる。サビで同じフレーズが何度もリフレインする箇所でも、ところどころで声の使い方を変えていたりと、遊び心も盛り込まれた名曲だ。次の展開としては、私立恵比寿中学の11月にリリースするシングル表題曲の書き下ろしも発表されており、音楽作家としてもメインストリームの真ん中に躍り出ることになるだろう。

 自身のアーティスト活動以外にも楽曲提供という形で才能を発揮する若きアーティストたち。彼らのような存在こそが、日本のポップシーンの発展における重要な役割を担っている。(中村拓海)

※記事初出時、一部情報に誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。