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もくじ

ー ライバルたちほど過激ではない2台
ー メカには満足、操作系には注文ありの308
ー 熟成不足の気配が悔やまれるセアト
ー おそらく、束の間の勝利

ライバルたちほど過激ではない2台

奔放なアクスルの足取り、緩慢なボディコントロール、トップエンドで元気をなくすエンジン、そしてサポート不足のシート。昨今のホットハッチは、ハッチバックの改造車というより、ちょっとしたスポーツカーのようなものが多いが、この2台にそれは感じられない。

セアト・レオン・クプラ300とプジョー308GTi 270はどちらも、ホットハッチのセグメントにおいては脇役のようなもの。スポットライトを浴びるのは、いつもフォード・フォーカスRSやホンダ・シビック・タイプRのようなモデルだ。

カップ・レーシングを意味するクプラの名は、いまやすっかり定着した。だが、再び活用されるようになったプジョー・スポール部門が、ハイスペックなパフォーマンスカーを造れるようになったのは最近のことだ。それまでのプジョーは、自らジャンルを造ったといってもいいジャンル、すなわちホット未満のウォームハッチ止まりだった。

メカには満足、操作系には注文ありの308

308GTiに過去どれだけ乗ったことがあっても、異様に小さいステアリングホイールに慣れるまでにはいつも時間がかかる。これだけでも第一印象がポジティブにならないのだから、実に惜しいことだ。ほかのどのFFホットハッチに乗っても最初にするような運転だと、径の小さいリムがこのクルマを神経質で落ち着きないものに感じさせる。ただし、すぐにステアリング入力を穏やかにすればいいと気づくはずで、そうすれば、どこか壊れているのかという心配はしなくてよくなる。

プジョーのエンジンは、4気筒ターボとしては悪くない。レスポンスは問題なく、中回転域ではけっこうパワフルで、トップエンドでも活発でエネルギッシュ。ディファレンシャルはちょっと利きすぎだが、パワーを路面へ効果的に伝達し、コーナーではラインをタイトにキープする。ボディはピシッとコントロールされ、本質的なシャシーバランスは実に鋭い。フロントは粘り強く、アジャスト性は豊かだ。

公道レベルでは、このプジョーは非常にいいフィーリングなのだが、改善を望みたい点もいくつかある。たとえば、ギヤシフトはゴムっぽく、ステアリングはやや曖昧で、シートのホールドはまったく足りない。そのため、エンジンとシャシーの美点を引き出すのに、ドライバーは無駄な労力を強いられるのだ。

熟成不足の気配が悔やまれるセアト

かつて、ホットハッチの法則はシンプルなものだった。パワフルなエンジンを積み、スプリングを固める、それだけだ。しかし今日ではそれだけでは不十分で、もっともモダンなホットハッチはそれに加えて配慮や熟成が感じられる。

レオン・クプラは、そんな過去と現在の狭間にいるようなクルマだ。必ずしも不完全なホットハッチというわけではないが、平凡なベース車を、輝かしいまでに熟成されたパフォーマンスカーへ変貌させたとはとても言えない。

荷重がかかった時のフロントアクスルの上下動こそ、このセアトが世界レベルのホットハッチではないことを示すなによりの証拠だ。その点、プジョーはクリーンにパワーを路面へ伝えられる。本当に出来のいいホットハッチは、飛ばすほどに路面へ吸い付くように思えるものだが、クプラは常にふわふわと浮いているようなのである。

おそらく、束の間の勝利

ドライ路面のサーキットでは、レオンは自身が履くピレリPゼロによって制約を受ける。要は、何周もラップを重ねる気にならないのだ。ターンインではアンダーステアが出て、出口へ向けては必死にトラクションを得ようとあがくのが、その理由といえる。

308のミシュラン・パイロット・スーパースポーツの方が、サーキットでのフィーリングはずっといい。とはいえ、どちらも路面が湿り気を帯びると妥協を強いられる。

といった感じで、この2台を比べればプジョーの方が上ということになる。しかし、強豪たちが待つ決勝ラウンドに引き出されたライオンのバッジは、むしろライオンの檻に放り込まれた仔羊のように見えることだろう。