脳トレに本当にいいのは?

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「脳を鍛える」をうたう脳トレグッズは数多く登場しているが、同じコンピューターゲームでも、認知力向上をうたったものより、遊びのゲームの方が効果は高いという皮肉な結果が明らかになった。

韓国ヨンセ(延世)大学の研究チームが、国際リハビリ専門誌「Clinical Rehabilitation」(電子版)の2017年7月20日号に発表した。自国の大手企業の脳トレゲームと日本の任天堂の娯楽ゲームを比較しての結果だった。

脳トレをコツコツやるより、「マリオ」でぶっ飛ぶ方が...

現在、脳トレグッズは、コンピューターゲームをはじめ、カード、組み立て模型、絵本、指先を使う器具類など非常に多く出回っているが、どの程度認知能力の向上に効果があるかは不明な点が多い。そこで研究チームは、コンピューターゲームについて、訓練方法の違いによる効果を検証することにした。

論文要旨によると、軽度認知障害がある78人を対象に、39人ずつ2つのグループに分けた。1つのグループは、韓国の大手企業ネットブルーム社製の脳トレ・コンピュータゲーム「CoTras」(コトラス)を使い、マニュアルどおりに認知機能向上だけを目的に訓練を行なう。もう1つのグループは、任天堂のゲーム「Wii」(ウィー)を使い、「スーパーマリオ・シリーズ」や「ドラゴンクエストX」などで自由に遊んでもらう。プレイはどちらも1回30分、週に3回を10週間続けてもらった。

訓練のスタート時と10週間後の2回、認知能力を測る「ウェクスラー成人知能検査」や、指先機能を測る日常動作テストを行なった。また、バイタリティー(活力)や、精神的健康度などに関する「生活の質」(QOL)をアンケートで聞いた。そして、それぞれスタート時に比べ、10週間後にどれだけ改善しているかを比較した。

その結果、改善の度合いを比べると、任天堂の「Wii」を楽しんだグループの方が、「CoTras」で訓練したグループより、すべての面で成績がよかった。たとえば、ウェクスラー成人知能検査では、試験官が5ケタの数字を「73819」などと喋り、対象者に復唱させたり、「91837」と逆唱させたりするテストがある。このテストでは「Wii」組は「CoTras」組に比べ4.0〜4.2倍も改善成績が高かった。日常動作テストでも2.0倍成績がよく、生活の質の調査でも、バイタリティー度で3.4倍、精神的健康度で1.7倍と、軒並み成績が上回った。

脳トレゲームは本当に結果が結びつく?

最初から認知機能向上をうたう「CoTras」で、真面目に脳トレに取り組むより、戦闘・冒険・ファンタジーなど様々な分野のゲームがある「Wii」を楽しんだ方が、認知症の予防には効果があるらしい。やはり、楽しんで行なうことが脳の活性化にはいいのだろうか?

それとも、認知機能を狙った「CoTras」の訓練内容が、本当に結果に結びつくものではなかったということなのか?

研究チームは、今回の調査は「観察研究」だとして、こうした疑問にいっさい答えていない。ヨンセ大学のパク・ジンヒョ博士は、論文要約の中でこうコメントしているだけだ。

「結果ははっきりしています。高齢者の認知機能に特化したコンピューターゲームを行なうより、特化していないゲームを行なう方が、改善効果が高かったということです」