この世には、行きたくてもなかなか行けないお店というのが存在する。いくらお金を払っても、どれだけその店への愛を訴えても、登ることができない頂……。

その一つが会員制高級紳士餃子レストラン『蔓餃苑』である。オーナーのパラダイス山元さんが作る餃子を求めて、各界の著名人が訪れてはSNSにアップし、周囲の人がこぞって行きたいとコメントする……。そんな現代の奇跡『蔓餃苑』に幸運にも潜入できたので、その様子をリポートする。



この『蔓餃苑』は、常に営業しているわけではなく、完全予約制のプライベートダイニング。会員であっても、その予約にありつくのは至難の業だそうだ。

オーナーであるパラダイス山元さんは、「東京パノラママンボボーイズ」を率いるマンボミュージシャンであり、飛行機マニア、入浴剤ソムリエなど、多数の肩書きを持ち、さらにアジア人初のグリーンランド国際サンタクロース協会に所属する公認サンタクロースでもある。

そして、芸能界きっての餃子の人としても知られており、今回は、そんなパラダイス山元さんと佐賀県がコラボした『珍魚苑』というイベントに参加した。なんと、100名の定員に対し、数十倍の応募があり、当選した人は極僅かだという。



9月のとある日曜。昼の12時に指定された荻窪の某所を訪れた。会の定員は6名。お店の扉を開けると、所狭しとサンタグッズが並び、手前には無数のスーツケースにクルマや著書!

目がパチクリしてしまうような賑やかさ。まさに、おもちゃ箱のような空間!その真ん中に、6席分のテーブルと椅子が用意されており、ここで唯一無二の餃子のフルコースが味わえるのだ!



まずは、パラダイス山元さんから会の簡単な挨拶と説明が。「食べたことのない餃子が次々と出てくるから、とにかく最後の最後まで存分に楽しんで欲しい」とのこと。ここにある酒は全て飲んでいいという太っ腹っぷり。特に佐賀県産の地酒が充実しているので、たくさん味わって欲しいと。

ビールも「一番搾り 佐賀に乾杯」と徹底して佐賀づくし。一杯目は佐賀の地酒「東鶴」と「天山」のスパークリングで華やかに乾杯! 軽やかな微発泡で女性にもオススメ。いよいよ珍魚餃子の宴のスタートです。


いよいよ未知なる極上餃子が登場!


■ニシ貝の餃子

一品目が運ばれてくると、その焼き目の美しさにどよめきが。こちらが、「ニシ貝の餃子」。春から夏に獲れる有明の貝で、コリっとした歯応えが特長。こちらを醤油とみりんで炊き、バターソースと絡ませて、それを餃子に!

口に入れるとバターの香りがフワ-っと広がり、それと甘辛い貝の味が、ベストマッチ! 皮のモチっとした食感と貝のコリっとした食感のギャップも楽しく、いきなりニヤつきが止まりません!




■ワラスボの餃子

2品目はワラスボという何ともエイリアンチックな顔をした「ワラスボの餃子」(日本では有明海奥部の軟泥干潟にのみ生息する絶滅危惧II類に指定されているハゼの仲間)。

獰猛な見た目にも関わらず、その味はうなぎや穴子に近く、意外にも親近感のある味わい。スペースマウンテン型という独自の皮の形状も蔓餃苑ならではです!



■大葉クォーターパウンダー

続いては蔓餃苑のメニューから、猪の肉を使った餃子「大葉クォーターパウンダー」。脂が美味しいウリ坊の肉餡がたっぷりで、中の餡には大葉が巻かれています。

口にした瞬間に肉汁が溢れてきますが、同時に大葉の清涼感も感じられる次世代の味わい! 率直に言って、メチャクチャ旨い!



■ラムパクチー餃子

お次は「ラムパクチー餃子」。ニュージーランド産の良質なラムにクミンシードを合わせ、そこにパクチーをトッピング。それぞれがクセのある食材なのですが、その分一体になった瞬間のインパクトがスゴい!

まず肉汁がブワっときて、クミンの香りが立ち、そして、パクチーがそれらのインパクトをごそーっとかっさらっていきます。この組み合わせは自宅でも真似したい!



箸休めには新鮮なお野菜が盛りだくさん。きゅうりにミニトマトと、餃子のこってり感を洗い流してくれます。また、この時点で2時間近くたっており、参加者は次々と日本酒を空けていきます。

こちらは、パンダとシロクマが可愛く指相撲をするラベルが最高に萌える「竹の園 純米吟醸 強敵 ゆびずもう」という佐賀のお酒。吟醸香が強く、パンチのある餃子と相性抜群です。




いよいよ、フィニッシュ!ムツゴロウの餃子って何!?


■餃子の擬態

お次は、また箸休めかな?と思ったら、こちらは「餃子の擬態」というメニューで、イチジクの間に、丸々としたイカが包まれた餃子が隠れています。

その下には、パラダイスさんがマイル修行の際に沖縄の空港の売店で買ってきたという、海ぶどうが敷き詰められており、これまたカオス! 食感も味も違うのですが、3つを同時に食べると独特のハーモニーがあり、新たな発見。山元さんの遊び心が炸裂した一品です。



■ムツゴロウの餃子

次は本日のメインとも言えるムツゴロウの餃子。見た目はまんまエイリアンですから、食べるのに躊躇したことは言うまでもありません。一度素揚げしたものを、皮で包み、再度焼いているので、食感はクリスピー。

香ばしさとほろ苦さが心地よい。これには小型のカニを塩辛にした「がん漬け(がんづけ)」とマヨネーズを合わせたディップソースを付けていただきます。先ほどの味に、まろやかさが加わり、ほどよくジャンクな味わいに変化。思わず、ビールに手が伸びます!

また、その後ろに見えるのは、イソギンチャク(ワケノシンノス)。不気味な形状の生物なのですが、こちらを揚げ餃子に。こちらも磯の香りがほとばしる、初体験の餃子です!



■白エビの餃子

お次は白エビの餃子。たっぷりと身が詰まった白エビが惜しげもなく入った餃子は、仕上げにオリーブオイルをかけていただきます。白エビのヒゲで口の中がチクッとしながらも、プリプリ食感が果てしなく、エビ100%!と叫びたくなる味です!



■クリスピーフライドポーク餃子

最後はこちらの「クリスピーフライドポーク餃子」。食べ応え抜群の餃子にライムを絞っていただきます。ジュワッと肉汁とクリスピーな皮。ライムで爽快にいただき、この会はフィニッシュ!



佐賀県有明海の珍魚と、何よりパラダイス山元さんによる匠の餃子術を楽しみました。終ってみて思うのは、餃子というのはどんな形にも変化する料理だということ。肉や野菜もあれば、貝を包んでも、珍魚を包んでもいいわけで、そういう意味ではとても創造性の高い料理だな、と思いました。

筆者は宇都宮生まれ、正嗣育ちなので、餃子についてはかなり保守派なのですが、『珍魚苑』を体験して価値観が揺らぎました。皮に包まれることで食材の味を余すことなく感じられること。よりジューシーに仕上がる点など、いたく感動した次第です。

皆様に置かれましても、もしこの“奇跡”を訪れるチャンスが巡ってきたならば、どんなに無理をしてでも絶対行ってみるべきかと! 大きな予定を蹴ってでも行くべき理由がそこには必ずあります!