Nancy Borowickさんの両親がともにガンであることがわかったとき、フォトグラファーである彼女にできる唯一のことは、ただひたすらに「ふたりの日常を写真に収めること」だった。

長いあいだ夫婦二人三脚で歩んできた人生に、刻々と終わりが近づく。娘は、まるでふたりの余生が安らかであることを祈るように、過ぎゆく瞬間をそのまま写していった。

Photo by @nancyborowick

ガンの進行はステージ4。すでに末期症状の段階だった。

Photo by @nancyborowick
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母は以前にもガンを患い、髪の毛も2回失った。再発に怒りと混乱を覚えても、病にアイデンティティを侵されることを許しはしなかった。写真は、3回目のかつらを作る様子。

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検査結果の電話を、トイレで受けた日も。

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2013年12月7日、父は夕暮れとともに安らかに息を引き取った。彼の母親が癌で亡くなってからちょうど43年目の日。58歳だった。

死に飲まれていく命とは裏腹に、顔の産毛が日に日に成長していくのが不思議だったという。

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その後は、残された母の撮影を続けた。夫を亡くしたあとの最初で最後の誕生日を過ごしたのち、父の死から364日後に母が亡くなった。

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飾らない、何気ない瞬間を切り取るなかで、両親はいろいろなことを教えてくれた。飛行機が着陸したら必ず電話すること。ブルーベリーパイを欠かさないこと。一番大事なことは、家族は愛で、愛は家族そのものだってこと。

彼女は撮りためた作品を、『The Family Imprint』と名付けてポートレイト集にした。闘病する両親のドキュメント。そこには二つ並んだ墓石の写真も収められている。

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Licensed material used with permission by Nancy Borowick