9月9日に古希を迎えた弘兼憲史氏

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『黄昏流星群』『島耕作』シリーズなどで知られる漫画家の弘兼憲史氏が、9月9日に古希を迎えた。これまで著書『50歳からの「死に方」〜残り30年の生き方』『60歳からの手ぶら人生』などで団塊世代に老後の生き方を提言してきた弘兼氏が、自ら70代に入り改めて「老後」とどう向き合うべきかを語った。

「『サザエさん』の父・波平さんって、実は50代前半なんですよ。1970年代くらいまでの50代ってあんな見た目で、定年も55歳で、60代で寿命を迎えていた。今の時代は、70歳の私が、波平さんと同じくらいの感覚なんですよね」

 弘兼氏はそう語る。

「体力的には元気なんだけど、食が細くなりましたね。フルコースの食事に行っても、メインに到達する前にお腹いっぱいになる。最近はオードブル2品で十分で、普段の食事も粗食になりました。お金がかからなくていいけどね。人間ってうまくできているなと思います」

 若い頃、ゴルフではドライバーで300ヤード飛ばしたが、今は240ヤードがせいぜいだという。体に不調はなく、仕事への意欲も高いが、緩やかに身体機能が落ちていく感覚を味わっている。

 昨年上梓した『60歳からの手ぶら人生』では、「弘兼憲史、身辺整理始めました」と宣言。体の機能だけでなく、収入や交友関係など、さまざまな面で下降トレンドに入った60代に、サラリーマン時代の名刺やスーツといった持ち物を半分捨てて、人間関係についても身軽になることを勧めた。

「現役のときと同じ生活レベルを保とうとすると預貯金もどんどん減ってしまう。ですから、必然的に生活範囲や交際範囲をすぼめていかないといけない。身の丈にあった生活をすることが重要なんです」

 意識して必要がないものを捨てていかないと、現役時代と同じ生活を続けてしまう。だから、まずは「半分に減らす」と意識するのだ。まず手をつけたのは、年賀状、歳暮や中元といった“お付き合い”だ。

「定年前ともなると、年賀状を200通も300通も出すという人が多いが、引退後もやり取りが必要な相手ってそんなにいないんです。私は、印刷された年賀状を惰性でやり取りすることに無駄を感じ、10年前にやめました。本当に親しい間柄の人だけでいい。電子メールでもいいんです。

 お中元、お歳暮は無駄の最たるもので、本当にお世話になった人は別にして、やめていい。費用もかさみますからね。そうした義理の付き合いをやめたいのは相手も同じだと思えば、心のハードルはずいぶん下がるはずです」

※週刊ポスト2017年9月29日号