今場所が史上稀に見る呪われた場所ということではなく、史上最悪の危機を乗り切ったガタが今出ていると思う件。
相撲取りの生産量を増やそう!

呪われた秋場所。今年の大相撲九月場所は稀に見る異常事態となっています。3横綱2大関が休場し、さらにひとり残った横綱・日馬富士も3日連続で金星を配給するという荒れ模様。日馬富士は横綱という立場もありこれ以上黒星が先行するようなら休まざるを得ず、全部で7人も横綱・大関がいるのに千秋楽までにひとりしか残らないという可能性も大いに残しています。

「千秋楽の主役が豪栄道かぁ…」

そうした状況に「相撲取りの壊れやすさ」を論じる意見が多くなっています。ケガをしやすくなってのではないか。トレーニングが不足しているのではないか。科学的なトレーニングが必要なのではないか。そうした意見の数々。しかし、僕は思うのです。本当に相撲取りは壊れやすくなったのかと。

確かに今場所の怪我人・休場は多いですが、その内容は「壊れやすさ」とは違うように思います。まず横綱を見ていくと、今の4横綱は全員が30代。白鵬が32歳、日馬富士が33歳、稀勢の里が31歳、鶴竜が32歳。この年齢というのは、相撲取りとしては引退が見えてくる年齢であり、もうとっくに辞めていても不思議はないものです。

過去の横綱を振り返ってみれば、朝青龍が29歳で辞めたのは例外的としても、武蔵丸が32歳、若乃花が29歳、貴乃花が30歳、曙が31歳、旭富士が31歳、大乃国が28歳、北勝海が28歳、双羽黒の24歳はノーカウントで、現状の横綱陣を超えるところというのは隆の里の33歳、千代の富士の35歳というところまでさかのぼります。今の4横綱はむしろ、よく残っているほうなのです。

また大関陣の怪我というのは照ノ富士は慢性的なヒザの怪我を抱えているものであり、高安はまさに突発的な怪我です。これは怪我をしやすくなったというよりは、ずっと怪我をしている照ノ富士と、高安の怪我が重なったというだけのこと。

そういう意味では今場所というのは「本来なら引退していてもおかしくない横綱たちが年相応にガタがきており、前から怪我をしている照ノ富士がやっぱり怪我をしており、そこに高安が怪我をした」すなわち「高安が怪我をした」だけと言えるのではないかと思うのです。

↓高安が怪我をしたのが痛かった!持ってない!


初優勝を狙える場所だったのに!

田子ノ浦勢は昇進のときに天運を使い果たして、今精算しているみたいな感じ!

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ここでさらに番付を下へと見ていくと、三役格では御嶽海は24歳ですが、嘉風は35歳、玉鷲は32歳、栃煌山は30歳とやはりベテランの域ですし、大関を陥落した33歳の琴奨菊、休場している碧山も31歳と30代が上位に多く居並んでいます。逆に阿武咲21歳、貴景勝21歳、大栄翔23歳といった若手は好調で、混戦の場所を盛り上げています。

僕は今場所のガタの原因は、まさにガタ、衰えであると考えています。本来であれば若手に追い落とされ、番付を下げているか、引退していた力士が土俵に長くとどまっていることで、ガタが目立ってしまっただけのこと。問題は20台後半の脂の乗った実力者が上位に乏しいということのほうです。

それは昨日・今日始まったことではなく、いずれくる未来として予見されていたこと。具体的には2008年頃の大麻問題、2011年頃の八百長問題、その他ビール瓶問題などで大相撲人気そのものが低下していた時期にこそ発端があるはずです。人気低下による新弟子志願者の減少によって、今主役となっているべき世代の力士をあまり輩出できなかった。そのことが怪我・年齢によるガタを目立たせてしまったのだろうと。

むしろ、今ガタっている横綱たちが長く土俵をつとめたことで苦しい時期を乗り越えてこられたのだと、感謝をもって見るべき「ガタ」であろうと思うのです。今場所はひとり横綱となっている日馬富士などは両手両足にサポーターをまいて、むしろほかの3横綱以上にガタっているなか、「先に休まれた!」「ずるい!逃げるな!」「俺が出るしかないのか…」と苦笑いで頑張っている。千秋楽までつとめあげることができたなら、金一封ものの奮闘と言いたいくらい。

「巡業が多すぎるのではないか」
「公傷制度を復活させるべきではないか」
「年6場所がそもそも多すぎるのではないか」

そういった休みやすい環境作りというのも叫ばれてはいますが、巡業や場所は稼ぎを生み出す営業であり、減らすというのは難しいでしょう。また、公傷制度があれば休みやすくなるでしょうが、過去にそれを設けていたときには「デブはすぐ休む」という別の問題が生じていました。

土台、デブとデブがぶつかり合っているのですから怪我をするのが当たり前なのです。誰しもが大なり小なり痛いところはある。診断書を取ろうと思えば取れるのです。それで公傷を勝ち取れるようであれば、当然公傷を取りにいくのです。公傷で休んで地位をキープするなら、八百長で上手いことやって地位をキープするほうがまだ見栄えはいいというもの。

相撲取りの安定した生産と供給…コメみたいな話ですが、コメみたいに相撲取りを自給生産していく意識というものが必要なのです。一度、相撲取りの供給が途絶えれば、世間もハッと気づくでしょう。「何でワシらはデブを集めてデブを育ててぶつかりあわせていたのだろう、何じゃコリャ」と。気づかせてはいけない。とだえさせてはいけない。歌舞伎界が世継ぎの話ばかりしているなかで、角界は次世代への意識が低かったかもしれない。反省すべきはその点でしょう。

しかし、ここからはまた気運も変わってくるはず。現在の上位陣、とりわけ白鵬と稀勢の里が再び盛り立てた相撲人気が、新たなデブの安定供給を生むに違いありません。今場所の台風の目となっている阿武咲などは、小学生・中学生年代で頂点に立ち、高校を中退して相撲一本にかける決意をしたといいます。このような若者が増えてくれば、ガタが目立つ前に新世代が台頭するという好循環を作っていけるはず。

その意味では、今場所ガタは目立っているものの「若手の台頭にギリギリつないで、大相撲空前の危機をうまく乗り切った」と言いたいところ。豪栄道、琴奨菊あたりにもその辺をしっかり感じ取ってもらい、「時代」という自分たちでは持て余すバトンを中途半端に握ろうとせず、次世代にしっかりとスルーしていって欲しいもの。僕も今場所は千秋楽のマスを運よくおさえることができましたので、そこで新しい時代というものを見たい。強くそう願う者なのです。

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デブがデブに憧れ新たなデブが現れる!今のデブはよく頑張っている!